チュンチュン チュンチュン
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小林 |
「爽やかな朝やな」
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北小岩 |
「そうでございますね」
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小林 |
「小鳥も楽しそうやな」
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北小岩 |
「はい。そういえば、
今日は年に一度の
町の健康診断でございますね」
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小林 |
「検便と検尿は必須やから、
準備体操をしてのぞむか」
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二人は四股を踏む体勢をとると。
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小林 |
「う〜ん!」
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北小岩 |
「こっこっこっ!」
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にわとりのように前に進むのだった。
その後、気をつけの姿勢で。
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小林 |
「し〜!」
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北小岩 |
「こっこっこっ!」
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後ろに向かってジャンプし、元の位置に戻るのだった。
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小林 |
「ええ感じや。
もう一度いくか」
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北小岩 |
「はい。う〜ん!」
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弟子が音頭をとろうとした刹那。
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男A |
「くそ〜!
やられた!!」
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男B |
「くそ〜!
お前もか。俺もだ」
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小林 |
「どうしたんや」
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男A |
「あっ、先生。
実はですね。
健康診断の検便が
5分後に締切じゃないですか」
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北小岩 |
「そうでございますね。
便と尿をその時間までに出さないと、
診断を受けられません」
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男B |
「時間に間に合うように出して、
採取しようとしたその時に、
誰かが便所の戸をどんどん叩いて
火事だ! とぬかしやがって、
びっくりして流してしまったんですよ」
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男A |
「俺もそうなんです。
出し切ってしまったから、すぐには出ない。
だから、今年の診断を
受けられなくなってしまいました」
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女A |
「シーット!
私が尿を採取しようとした時に、
誰かがのぞきだっ! て大声を出すから、
思わず全部こぼして、
採尿しそこなったわよ。
私は一度出すとなかなか出ないから、
もう間に合わないわ」
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小林 |
「むっ、今あそこの角を
怪しげな奴が曲がっていったな」
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北小岩 |
「つかまえましょうか」
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小林 |
「そや! ダッシュや!」
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ダダッ!
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小林 |
「もうあんなところにおる。
凄まじい逃げ足やな。
しまった!
俺もお前も小も大も早便やが、
締め切りまで後1分しかない!」
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北小岩 |
「今から二つを同時に出したとしても、
採取して持ち込んだら
期限を過ぎてしまいます!」
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小林&
北小岩 |
「ああ〜〜〜!」
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結局師弟も診断を受けられなくなってしまった。
町の検便、検尿を阻止した奴はいったい誰なのか。
率直に言ってしまえば、誰でもいいし、
どうでもいいという気もする。 |