北小岩 |
「この本も読みました。
この本も読みました」
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先生の書棚を前に一人ごちたのは、
弟子の北小岩くんであった。
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北小岩 |
「ここには膨大な書物がございますが、
ほとんどはゴミの収集場所に
出されていたものを拾ってきたか、
あとはエロ本と交換したものでございます」
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ホコリを被った書名部分を指でなぞる。
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小林 |
「お前、なに朝っぱらから
エロ本の話をしとるんや。
相変わらず朝スケやな」
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北小岩 |
「あっ、先生。朝スケというのは、
何のことでございますか」
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小林 |
「朝からスケベの略や」
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北小岩 |
「あははは。
さすが言葉の大家でございますね。
先生は」
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ゾッとするほどつまらない言い回しでも、
妖精のように笑ってくれる。
こんな弟子を持って、焦げ陰毛先生は幸せである。
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北小岩 |
「実はわたくし、
先生の蔵書をすべて
読み切ってしまったのでございます」
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小林 |
「そうか。
俺とおんなじやな」
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書棚のエゲツないエロ本以外、
ほとんど目を通していない。
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小林 |
「たまには図書館でも行ってみるか」
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二人は自分の玉を呼び鈴のように押し、
ピンポ〜ン! と叫ぶやダッシュ開始。
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小林 |
「久しぶりやな。
どや、様子は変わっとるか」
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北小岩 |
「あそこをご覧ください」
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小林 |
「むっ、どういうこっちゃ?」
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貸出デスクの前に立札が設置され、
当たりorはずれと書かれている。
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北小岩 |
「本に当たりはずれがあるようですね」
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小林 |
「当たりというのは、
気持ちのええ思いができるんやないか」
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貸出係のおねえさんが、
今にもパンツが見えそうなスカートを
履いているところをみると、そうなのであろう。
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男 |
「うう! 痛え!」
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北小岩 |
「どうしたのでございますか」
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男 |
「大はずれをひいちまった。
本が俺の玉を挟んで、
ギリギリ締めつけるんだ。
このままだと玉が割れてしまう。
ねえさん、何とかしてくれ!!」
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ミニ
スカの
おねえ
さん |
「仕方ないですね。
本を解体します。
でも、その本とても高価なんですよ」
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定価のところに50万円と書かれている。
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ミニ
スカの
おねえ
さん |
「私どもは、
お貸ししたままでも構いませんわよ」
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男 |
「勘弁してくれ!
わかった、今持ち合わせないけど
必ず払うから!!」
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ミニ
スカの
おねえ
さん |
「ではこの借用書にサインをしてください」
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男がサインすると、
おねえさんはミニスカで本に馬乗りの形をとり、
解除作業をした。
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小林 |
「怪しげな作業が行われた気がしたな」
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北小岩 |
「わたくしたちはどうしましょうか」
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小林 |
「あいつが最悪をひいたんやから、
大丈夫やろ。GOや!」
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先生が思い切って本を取ると、
壁にある赤ランプが点灯し、屈強な男らが現れた。
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小林 |
「なんや!」
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あっという間に羽交い絞めにされ、
ズボンとパンツを下ろされると、
ブツを本で挟まれた。
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小林 |
「ヤツと同じ運命をたどるんかい」
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ミニ
スカの
おねえ
さん |
「違います。
その本のページは
特殊な印画紙になっております。
あなたの粗末なものが永遠に記録され、
笑いものとして貸し出されます」
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図書館には氏名、住所など、
先生の情報がストックされているので、
粗品が誰のものかすぐにわかってしまう。
先生は永久にこの町に、
恥部を記録されることとなった。 |