北小岩 |
「ふぁ〜」
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小林 |
「ぴりっとせんなあ」
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北小岩 |
「身も心も、
なまりきっておりますね」
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小林 |
「このままでは、
玉金に苔が生えてしまうで」
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北小岩 |
「ご冗談を」
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一応パンツの中をのぞくと。
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北小岩 |
「むっ!
苔が表面を覆っております」
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小林 |
「だらしない奴やな。
玉と言えば男にとっての砲丸や。
そんなことで女性陣を喜ばせ・・・。
むむっ!
俺の玉も苔だらけや。
盆栽のようになっとる!!」
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最低な師弟である。そこには何の趣もないであろう。
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小林 |
「『油断は金玉』という格言は、
真実やったな」
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北小岩 |
「気合をいれないと、
わたくしたち、
滅亡してしまうかもしれませんね」
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小林 |
「そやな。
あの方を訪ねてみるか」
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あの方というのは、
町に住む仙人のことである。
町と言ってもはずれであり、
そこには険しい崖がある。
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北小岩 |
「頂上にいらっしゃるのですね」
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小林 |
「三点確保せんと危険やで」
珍しく真剣な表情で登り続け。
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北小岩 |
「ふう、やっと着きました」
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小林 |
「あかん、留守やな。
岩に結び付けられた褌がたなびいとる」
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もと来た崖を下りる。
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北小岩 |
「広場の土管に
座っていらっしゃいますね。
町の若者が近づいていきます」
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町の
若者 |
「仙人!
弟子にしてください」
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頭を大きく下げると、それ以上に頭を下げ。
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仙人 |
「すまんな。
わしは弟子はとらんのじゃ」
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小林 |
「見ろ。
断る時には、
自分の方がさらに頭を垂れる。
それが師の流儀や」
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北小岩 |
「でも、若者が
頭を地面にこすりつけて
懇願しだしました。
若者より頭を低くするのは、
不可能なのでは」
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仙人は土管の中にあったスコップで、
穴を掘り出した。
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北小岩 |
「さすがでございます!
穴に頭を入れて、断っております」
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仙人 |
「ふう、
やっと諦めてくれたようじゃ」
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ぐにゅっ
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仙人 |
「うわ!
糞を踏んでしまっただ。
ごめんなさい!
今もとに戻しますから〜」
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土管の後ろに隠れると、
大便をひりだした。
そして割り箸でつかむと、
踏んで崩れた糞の所に持っていき、
踏む前と同じ形に復元した。
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小林 |
「見事や!」
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先生と弟子が尊敬してやまない町の仙人。
果たして尊敬するに値する人物なのであろうか。 |