チュンチュン チュンチュン
さわやかな朝。スズメが遊んでいるのであろうか。
チュンチュン チュンチュン
ガラガラッ
雨戸が開いた。
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小林 |
「チュンチュン。
どや、俺の雄スズメの真似は」
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北小岩 |
「さすがでございます」
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小林 |
「雌スズメもこの声を聴けば
ウハウハやろ」
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北小岩 |
「間違いございません」
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さわやかではない朝であった。
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小林 |
「庭の草花にもあいさつしとくか」
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北小岩 |
「先生の御心の美しさは、
草花にも届くと思います」
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先生が庭に下りようとすると。
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小林 |
「むっ、これはなんや!」
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北小岩 |
「いつの間にか
お庭が耕されております!」
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小林 |
「それも全面や」
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北小岩 |
「怪しげな男たちがおります」
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先生と弟子が便所草履でダッシュする。
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小林 |
「なんやお前らは」
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男A |
「見ればわかるだろ」
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小林 |
「わかるか、どあほ!」
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北小岩 |
「先生の大切なお庭で、
パンツまで脱いでしゃがみこみ、
汚いものを土につけて、
どういうつもりでございますか」
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小林 |
「そいつの金玉をよく見てみい」
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北小岩 |
「うわっ!
玉から芽が伸びております」
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小林 |
「なんやそれは!」
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男A |
「玉ネギに決まってるだろ」
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小林 |
「・・・」
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北小岩 |
「あちらにいらっしゃる方は
お尻が妙なことになっております」
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小林 |
「つるが出とる」
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北小岩 |
「こうではないかというものが
わたくしの頭にございますが、
いちおうお聞きします。
それはいったいなんでございますか」
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男B |
「尻コダマスイカに決まってるだろ」
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北小岩 |
「やっぱり・・・」
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一夜にして先生の庭が畑になっていた。
そこにいる男たちの身体の一部で、
野菜化、果物化が進行している。
怪奇現象ということもできるが、
どうでもいい話ということもできるであろう。 |