北小岩 |
「もう6月でございますか。
たまには繁華街に
行ってみましょう」
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別に6月と繁華街は何も関係ないのだが、
ともかく先を急ぐ弟子であった。
ジャカジャカジャ〜ン!
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北小岩 |
「ストリートミュージシャンの
方々でございますね」
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♪俺の夢は〜
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北小岩 |
「カッコいいです〜」
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♪俺が己で踏みにじった
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北小岩 |
「なるほど!」
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♪誰のせいにもできないさ〜
パチパチパチパチ!
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北小岩 |
「ブラボーでございます!」
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ストリー
トミュー
ジシャン
A |
「ありがとう!
喜んでもらえてうれしいな。
ところで君も歌ってみないか」
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北小岩 |
「おたわむれを!
わたくしなぞとてもとても」
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ストリー
トミュー
ジシャン
B |
「時には自分を
解放してみるのもいいよ。
俺たちはトリオで
活動しているんだけど、
今日はひとり
来られなかったんだよ。
君はもう俺たちの仲間さ」
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北小岩 |
「むっ!」
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弟子がむっ! とうなったのも、むべなるかな。
ストリートミュージシャンAとBは
スキンヘッドにしているのだが、
Aの頭には「ち」の文字が、
Bの頭には「ん」の文字が書かれている。
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北小岩 |
「わたくし、
髪を剃るつもりは毛頭」
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言い終らないうちにバリカンで刈られた。
当然頭には、「ぽ」の文字が大書された。
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ストリー
トミュー
ジシャン
A |
「じゃあ、いってみようか。
俺たちがギターを弾くから
アドリブで歌ってくれ」
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北小岩 |
「わかりました。
わたくしも
男の端くれでございます。
わたくし、昔から女護が島に
憧れを抱いておりました。
そこにひとりで
流れ着いた男の歌を、
熱唱させていただきます」
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ストリー
トミュー
ジシャン
B |
「いいんじゃねえか。
いくぜ」
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北小岩 |
「♪〜嵐の夜に
たどり着いたのさ〜」
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♪ジャ〜ン!(ギターの男)
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北小岩 |
「♪〜ここは女護が島
男はわたくしだけ〜
一人で女三千人
ここは女護が島
黄色い太陽です〜」
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♪ジャカジャカジャカジャカ
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北小岩 |
「♪〜はいはい
整理券をお取りください
わたくしは一日一回が限度
だけど島のみなさまに
ご満足いただけるように
たちあがる次第です〜」
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ストリー
トミュー
ジシャン
A |
「なかなか魂が
こもってたんじゃないかな」
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北小岩 |
「ありがとうございます!」
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ストリー
トミュー
ジシャン
B |
「いい歌を聴かせたんだから、
オーディエンスから投げ銭を
いただかないとな」
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ストリー
トミュー
ジシャン
A |
「そこの缶を使いなよ」
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北小岩 |
「そうでございますか。
胸の前に持っていれば
いいのですね」
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ストリー
トミュー
ジシャン
B |
「それじゃあ、
お金は集まらないよ」
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ストリー
トミュー
ジシャン
A |
「パンツを下げて、
そのひもで
ちんちんにぶら下げるんだよ。
そうするとオーディエンスが
小銭をちんちんに当てて
缶に落とせるだろ」
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ストリー
トミュー
ジシャン
B |
「みんな面白がって、
結構貯まるんだよ」
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北小岩くんのちんちん下には、缶が設置された。
果たしていくら貯まるのか、というよりも、
こんなことをやっている段階で、
こいつらに魂がどうのこうのと語る資格は
ないであろう。 |