ざっざっ
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北小岩 |
「もう梅雨でございますか」
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ざっざっざっ
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北小岩 |
「我こそはと
紫陽花が咲き誇っておりますね」
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ざっざっざっざっ
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北小岩 |
「つゆといえば、
小林先生はわたくしが
年に一度の大ごちそうである
インスタントラーメンを食していると、
最後に飲もうと楽しみにとっておいた
おつゆを横取りし、
全部飲み干してしまうのです」
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なんとなくみすぼらしい師弟話である。
びゅ〜〜〜
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北小岩 |
「むっ、
ちらしが舞っております。
エッチなものをただで
いただけるかもしれません。
取っておきましょう」
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小林 |
「なんや。
小股の割れた女の写真でも
手に入れたんかい」
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北小岩 |
「あっ、先生。
そんなことはございません。
わたくしが手にいたしましたのは、
スーパーマーケットの
ちらしでございます」
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小林 |
「あまりに普通すぎるわな」
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北小岩 |
「しかし、普通のお店とは
経営方針が異なるらしいのです」
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小林 |
「どういうこっちゃ」
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北小岩 |
「『あなたは、
今まで惰性で買物をしてきた。
そんなことでよいのだろうか。
私たちのスーパーは、
あなたに本当に必要なものを分析し、
売ってあげますよ〜だ』。
そのように書かれているのです」
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小林 |
「ちょいとばかし気になるな。
行ってみるか」
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スーパーの前には、長蛇の列。
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北小岩 |
「なぜでしょうか。
列は入口を目指しているのではなく、
壁を目指しております」
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小林 |
「よく見てみい。
壁に人が大の字の恰好をした形の
穴があいとる」
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北小岩 |
「いろいろな大きさがあって、
体格に応じて
そこにはまり込むようですね。
あっ、オシャレっぽい女性が
大の字になりました」
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スーパー
・
コンシェ
ルジュ |
「あなたは、
今日は何を買うつもりで
来たのですか」
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オシャレ
っぽい
女性 |
「『サーモンと野菜のテリーヌ
生ハムを添えて』をつくって、
彼氏とワインを楽しもうと思って。
その食材を探しに」
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スーパー
・
コンシェ
ルジュ |
「違いますね。
あなたが今必要としているのは、
『イヌノフグリ』と
わたくしどものマシンが
分析しております。
彼氏の金玉は、
かわいさがまったくなく、
だらしなくぶら下がって
いるだけなのかもしれませんね。
イヌノフグリ、プリーズ!」
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コンシェルジュが声を掛けると、
奥からタキシード姿の伊達男が
イヌノフグリを手に現れた。
オシャレっぽい女性は恥ずかしさもあって、
お金を払い商品を受け取ると
ダッシュで去っていった。
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スーパー
・
コンシェ
ルジュ |
「では次の方」
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スリムな女性が大の字になった。
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スーパー
・
コンシェ
ルジュ |
「あなたは何を?」
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スリムな
女性 |
「干しブドウが栄養バランスに
優れていると聞いたので」
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スーパー
・
コンシェ
ルジュ |
「惜しいですね。
栄養バランスも大事ですが、
あなたはまず胸のバランスを
整える必要があるようですね。
マシンは干しブドウ付きのパイを
要求しています」
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スーパー・コンシェルジュが
パイパイ!と叫ぶと、
店から先ほどとは違ったイケメンが、
おっぱい型のパイを二つ
むんずとつかみながら現れた。
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見物人にとっては結構楽しいのですが、
セクハラまがいのこの店、
いったいなんなんでしょうね〜。 |