KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の四百伍拾参・・・スーパーマーケット

ざっざっ

北小岩 「もう梅雨でございますか」

ざっざっざっ

北小岩 「我こそはと
 紫陽花が咲き誇っておりますね」

ざっざっざっざっ

北小岩 「つゆといえば、
 小林先生はわたくしが
 年に一度の大ごちそうである
 インスタントラーメンを食していると、
 最後に飲もうと楽しみにとっておいた
 おつゆを横取りし、
 全部飲み干してしまうのです」

なんとなくみすぼらしい師弟話である。

びゅ〜〜〜

北小岩 「むっ、
 ちらしが舞っております。
 エッチなものをただで
 いただけるかもしれません。
 取っておきましょう」
小林 「なんや。
 小股の割れた女の写真でも
 手に入れたんかい」
北小岩 「あっ、先生。
 そんなことはございません。
 わたくしが手にいたしましたのは、
 スーパーマーケットの
 ちらしでございます」
小林 「あまりに普通すぎるわな」
北小岩 「しかし、普通のお店とは
 経営方針が異なるらしいのです」
小林 「どういうこっちゃ」
北小岩 「『あなたは、
  今まで惰性で買物をしてきた。
  そんなことでよいのだろうか。
  私たちのスーパーは、
  あなたに本当に必要なものを分析し、
  売ってあげますよ〜だ』。
 そのように書かれているのです」
小林 「ちょいとばかし気になるな。
 行ってみるか」

スーパーの前には、長蛇の列。

北小岩 「なぜでしょうか。
 列は入口を目指しているのではなく、
 壁を目指しております」
小林 「よく見てみい。
 壁に人が大の字の恰好をした形の
 穴があいとる」
北小岩 「いろいろな大きさがあって、
 体格に応じて
 そこにはまり込むようですね。
 あっ、オシャレっぽい女性が
 大の字になりました」

スーパー

コンシェ
ルジュ
「あなたは、
 今日は何を買うつもりで
 来たのですか」
オシャレ
っぽい
女性
「『サーモンと野菜のテリーヌ
  生ハムを添えて』をつくって、
 彼氏とワインを楽しもうと思って。
 その食材を探しに」
スーパー

コンシェ
ルジュ
「違いますね。
 あなたが今必要としているのは、
 『イヌノフグリ』と
 わたくしどものマシンが
 分析しております。
 彼氏の金玉は、
 かわいさがまったくなく、
 だらしなくぶら下がって
 いるだけなのかもしれませんね。
 イヌノフグリ、プリーズ!」

コンシェルジュが声を掛けると、
奥からタキシード姿の伊達男が
イヌノフグリを手に現れた。
オシャレっぽい女性は恥ずかしさもあって、
お金を払い商品を受け取ると
ダッシュで去っていった。

スーパー

コンシェ
ルジュ
「では次の方」

スリムな女性が大の字になった。

スーパー

コンシェ
ルジュ
「あなたは何を?」
スリムな
女性
「干しブドウが栄養バランスに
 優れていると聞いたので」
スーパー

コンシェ
ルジュ
「惜しいですね。
 栄養バランスも大事ですが、
 あなたはまず胸のバランスを
 整える必要があるようですね。
 マシンは干しブドウ付きのパイを
 要求しています」

スーパー・コンシェルジュが
パイパイ!と叫ぶと、
店から先ほどとは違ったイケメンが、
おっぱい型のパイを二つ
むんずとつかみながら現れた。
 
見物人にとっては結構楽しいのですが、
セクハラまがいのこの店、
いったいなんなんでしょうね〜。

小林秀雄さんへの激励や感想などは、
メールの表題に「小林秀雄さんへ」と書いて
postman@1101.comに送ってください。

2013-06-09-SUN

BACK
戻る