小林秀雄、あはれといふこと。
しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。
其の四百六拾四・・・線香
小林
「何か浮いた話はないか」
北小岩
「そうでございますね」
小林
「まあ、お前に
浮いた話などあるわけないか」
北小岩
「そんなことはございません。
先日友人の家で
お風呂に入った時に浮きました」
小林
「なんじゃそりゃ」
北小岩
「彼の家は
以前旅館を経営していたため、
浴槽が広いのです。
ですから、友人とともに
入ったのでございます」
小林
「華がかけらもない光景やが、
そのどこが浮いた話なんや」
北小岩
「二人が同時に
屁をこいたのでございます」
小林
「やな予感がするな」
北小岩
「わたくしの屁と彼の屁、
見事な泡となり
浮いてまいりました。
わたくしの屁は
わたくしの目の前にあったのですが、
彼の屁もわたしくの目の前に
流れてきました。
ふたつの屁がくっつき、
泡が割れたのです」
小林
「聞きたくもないが、
どやった?」
北小岩
「二種類の屁が共演いたしました。
香りのダブルファンタジーと
いうところでしょうか」
所詮、弟子の浮いた話などその程度であろう。
小林
「パッとせんにもほどがある。
ここから69里ほど離れた村に、
とてつもないべっぴんさんが住んどる
美人の里があると小耳に挟んだ。
パッとするかもしれん。
いってみるか」
北小岩
「かしこまりました」
さすがに69里を一日で歩くのは不可能なので、
道すがらエロ本を売りさばき、
安宿に泊まり旅を進めた。
小林
「だいぶ、
おなごの質が変わってきとらんか」
北小岩
「そうでございますね。
ハイレベルになっております」
小林
「その中で極上の輝きを持つ
べっぴんさんを探すんや」
北小岩
「あっ、あそこをご覧ください!」
小林
「間違いない! 突撃や!!」
二人はダッシュをかけた。
小林
「むっ、べっぴんを中心に
直径10メートルのところに
巨大な蚊取り線香が並べられるとる。
これはいったい」
北小岩
「蚊取り線香ではございません。
わたくし、以前ものの本で
読んだことがございます。
先生の股間に異変はございませんか」
小林
「そういえば元気がないような。
むむっ、
元気がないどころか青ざめとる。
むむむっ、
青ざめとるどころか仮死状態。
むむむむっ、
仮死状態どころか完全に死んで」
北小岩
「やはり
『チン取り線香』でございますね。
村ではいやしい下半身を持った男らの
襲撃を避けるため
線香をたくのです。
吸い込んでしまったら、
そのおちんちんは終わりです」
小林
「じゃあ、
俺のちんちんはもう・・・」
北小岩
「終わりです」
69里歩き通した末、
ちんちんが終わってしまった小林先生。
矮小な男の人生の縮図を見る趣もあるが、
ほんとにどうでもいい話であることは、
否めないであろう。
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2013-08-25-SUN
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