KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の四百七拾壱・・・褌と恋

先生と弟子が、鋭い眼光で歩いている。
北小岩 「あそこの塀の上に
 光っているものがございます」
小林 「あの光り方は、10円やないな」
北小岩 「高貴な光でございます」
小林 「となると、1円玉でもないな」
北小岩 「50円か100円か
 500円ではないでしょうか」
小林 「常に所持金が2円ずつしかない
 俺たちにとって、500円は巨額な財や。
 ダッシュや!」
北小岩 「かしこまりました」

ダダダッ

スッ

ブニュッ

北小岩 「あっ、財が消えました」

「はははは!
 ひっかかりやがった」

塀の向こうから糞ガキの声がする。

北小岩 「この糞ガキが!
 でございます」

「人の事を糞呼ばわりできるのか。
 お前の足を見てみろ!」

北小岩 「あっ、
 糞を踏み抜いてしまっております!」

「お前の方が糞だろ!」

北小岩 「確かに」

糞ガキは塀の上のお金で人をおびきよせ、
おびきよせられたヤツは
当然視線が上にいっているため、
糞をセットしておいて踏ませたのだ。
なかなかの兵法家であると、言わざるを得ない。

小林 「もうええ、こっちこい。
 それにしても近頃、
 褌をしめている若いヤツが
 やたらと多い気がするんやが」
北小岩 「褌を一匹見たら、
 三十匹はいると思えといった
 趣でございますね」
小林 「ゴキブリみたいやな。
 おい、そこの若いの。
 お前なんで、
 ズボンもはかずに褌で歩いてるんや」
褌男 「今、褌の効用が見なおされてるんだよ」
小林 「どういうこっちゃ」
褌男 「こないだ彼女と初めて
 一夜を過ごしたんだけどさ。
 彼女が遊びに来た時は、
 まだ恋人までいってなかったんだよ」
北小岩 「それでどうしたのでございますか」
褌男 「褌に、
 『俺の事を愛しているなら、
 この褌を引っ張ってくれ』って書いて、
 彼女の前に仁王立ちしたんだ」
北小岩 「引っ張ったのでございますか」
褌男 「そうだよ。
 引っ張られるとほどけるように、
 紐をゆるく結んでいたから、
 そのままベッドインさ」
小林&
北小岩
「・・・」

平安時代、和歌に気持ちを託し、
オマンチックな関係を結んだ
日本人ならではの趣のある行為という気もするが、
単にアホらしいという気もしないでもないから
不思議だ。

小林秀雄さんへの激励や感想などは、
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2013-10-13-SUN

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