KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の四百七拾八・・・厄

ざっざっざっ

北小岩 「落ち葉を踏みしめると、
 様々な記憶が甦ってまいります」

ざっざっざっざっ

北小岩 「初恋のじゅんちゃんと、
 じゅんちゃんのご家族と一緒に、
 枯葉でお芋を焼いたので
 ございました」

ざっざっざっざっざっ

北小岩 「わたくしが
 枯葉集めを担当したのですが、
 お芋を入れてしばらくすると、
 あたり一面異臭に支配され」

ぷ〜ん

北小岩 「そうでございます。
 わたくしが犬の糞が大量に
 枯葉の中に潜んでいるのに
 気づかなかったため、
 焼け糞となってしまったのです。
 わたくしの初恋も香りとともに、
 風の中に
 消えていったのでございます。
 切ない想い出でですね」
子ども
「あっ、北小岩さんだ」
北小岩 「君たちはわたくしのことを
 知っているのでございますか」
子ども
「有名だよ。
 あのおちんちんの極端に小さい人の
 お弟子さんでしょ」
北小岩 「よくご存知ですね。
 その通りでございます」
子ども
「ねえ、北小岩さん。
 お坊さんごっこしようよ」
北小岩 「お坊さんごっこでございますか。
 幼いころに一度
 やったことがあります。
 お経の真似事をし、
 木魚のかわりに石で石を
 たたいたのでございます。
 壊れた自転車のベルで、
 チーンと音をさせましたね」
子ども
「じゃあ北小岩さん、
 お坊さんの役ね」
北小岩 「かしこまりました。
 え〜と、石をここにセットして。
 『南無珍宝太刀摩羅探訪穴今日輪〜
 (なむちんぽうたちまらたんぼう
  あなこんにちは〜)』」

石をこんこんたたき、
わけのわからぬ経を読むのであった。
『りん』のち〜んという音を
何で出そうかと考えたその刹那。

ち〜ん!

北小岩 「う〜!」

子どもが弟子の金玉に、
巨大な石をぶつけた。

子ども
「思ったほどいい音がしなかったね」
子ども
「そうだね。
 つまんないから、もうやめよう」

その場に一人取り残された北小岩くんであった。

北小岩 「これも何かのメッセージに
 違いありません。
 たまには隣の隣の隣町のお坊さまに、
 ごあいさつにいかねば
 ということでしょう」

弟子は痛んだ玉を慈しみながら、
お坊さまのもとへ。

北小岩 「あっ、お坊さま。
 大変ごぶさたしております」
お坊
さま
「おう、北小岩くんじゃないか」
北小岩 「ずいぶん混んでらっしゃいますね」
お坊
さま
「そうだな。
 厄払いに来ている人が多いかな」
北小岩 「厄払いをしないと、
 不吉なことが起こったり
 するものなのですか」
お坊
さま
「そうだな。
 以前、厄払いをしていない大工さんが
 鐘の上の屋根を
 修理しに来ていたんだよ。
 屋根が破れて落ちた時に、
 たまたま鐘をついた人がいて、
 ちょうどタマタマを
 つかれてしまったんだ。
 玉は砕け散っていたな」
北小岩 「そうでございますか。
 恐ろしいことでございます。
 わたくしも、
 厄には気をつけたいと思います」


北小岩くんは厄でなくても、
年がら年中玉への攻撃を受けているので、
一般の男子よりも耐性がある。
とはいえ、気をつけたほうがよいでしょう。

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2013-12-01-SUN

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