ざっざっざっ
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北小岩 |
「落ち葉を踏みしめると、
様々な記憶が甦ってまいります」
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ざっざっざっざっ
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北小岩 |
「初恋のじゅんちゃんと、
じゅんちゃんのご家族と一緒に、
枯葉でお芋を焼いたので
ございました」
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ざっざっざっざっざっ
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北小岩 |
「わたくしが
枯葉集めを担当したのですが、
お芋を入れてしばらくすると、
あたり一面異臭に支配され」
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ぷ〜ん
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北小岩 |
「そうでございます。
わたくしが犬の糞が大量に
枯葉の中に潜んでいるのに
気づかなかったため、
焼け糞となってしまったのです。
わたくしの初恋も香りとともに、
風の中に
消えていったのでございます。
切ない想い出でですね」
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子ども
A |
「あっ、北小岩さんだ」
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北小岩 |
「君たちはわたくしのことを
知っているのでございますか」
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子ども
B |
「有名だよ。
あのおちんちんの極端に小さい人の
お弟子さんでしょ」
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北小岩 |
「よくご存知ですね。
その通りでございます」
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子ども
A |
「ねえ、北小岩さん。
お坊さんごっこしようよ」
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北小岩 |
「お坊さんごっこでございますか。
幼いころに一度
やったことがあります。
お経の真似事をし、
木魚のかわりに石で石を
たたいたのでございます。
壊れた自転車のベルで、
チーンと音をさせましたね」
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子ども
B |
「じゃあ北小岩さん、
お坊さんの役ね」
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北小岩 |
「かしこまりました。
え〜と、石をここにセットして。
『南無珍宝太刀摩羅探訪穴今日輪〜
(なむちんぽうたちまらたんぼう
あなこんにちは〜)』」
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石をこんこんたたき、
わけのわからぬ経を読むのであった。
『りん』のち〜んという音を
何で出そうかと考えたその刹那。
ち〜ん!
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北小岩 |
「う〜!」
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子どもが弟子の金玉に、
巨大な石をぶつけた。
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子ども
A |
「思ったほどいい音がしなかったね」
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子ども
B |
「そうだね。
つまんないから、もうやめよう」
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その場に一人取り残された北小岩くんであった。
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北小岩 |
「これも何かのメッセージに
違いありません。
たまには隣の隣の隣町のお坊さまに、
ごあいさつにいかねば
ということでしょう」
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弟子は痛んだ玉を慈しみながら、
お坊さまのもとへ。
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北小岩 |
「あっ、お坊さま。
大変ごぶさたしております」
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お坊
さま |
「おう、北小岩くんじゃないか」
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北小岩 |
「ずいぶん混んでらっしゃいますね」
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お坊
さま |
「そうだな。
厄払いに来ている人が多いかな」
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北小岩 |
「厄払いをしないと、
不吉なことが起こったり
するものなのですか」
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お坊
さま |
「そうだな。
以前、厄払いをしていない大工さんが
鐘の上の屋根を
修理しに来ていたんだよ。
屋根が破れて落ちた時に、
たまたま鐘をついた人がいて、
ちょうどタマタマを
つかれてしまったんだ。
玉は砕け散っていたな」
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北小岩 |
「そうでございますか。
恐ろしいことでございます。
わたくしも、
厄には気をつけたいと思います」
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北小岩くんは厄でなくても、
年がら年中玉への攻撃を受けているので、
一般の男子よりも耐性がある。
とはいえ、気をつけたほうがよいでしょう。 |