「先生、御殿を見学しに行って、
うまいもんでも食いませんか」
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小林 |
「今年の締めくくりに、
ええ感じの提案やな」
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下半身先生を旅に誘っているのは、
町有数の金持ち社長である。
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町有数の
金持ち
社長 |
「いつもエロ本の手配では
お世話になっていますから、
たまにはね」
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エロ本の目利きである先生は、
その特異な能力で、
お金持ちの方々からの信頼が厚いのである。
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町有数の
金持ち
社長 |
「もちろん、北小岩さんもどうぞ」
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北小岩 |
「ありがとうございます!」
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小林 |
「温泉に浸かって一年の疲れを癒し、
大いにエロ本談義に
花を咲かせようやないか」
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北小岩 |
「これほどの至福は、
この世にありませんね」
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金持ちの愛車『あえぎ号』に乗り、
御殿を目指した。
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小林 |
「どんな御殿があるのか、
楽しみやな」
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北小岩 |
「ニシン御殿の写真を
拝見したことがございますが、
たいそうなものでございました。
きっと、豊漁でおつくりに
なられたものでしょう」
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町有数の
金持ち
社長 |
「最初の御殿が見えてきました」
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北小岩 |
「むっ、
小さなお家ではありますが、
屋根がお尻の形になっており、
そこから火が出ている模様です」
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町有数の
金持ち
社長 |
「あれは『屁御殿』というのですよ」
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北小岩 |
「屁御殿?」
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町有数の
金持ち
社長 |
「屁御殿に住んでいる一族は、
なかなかのものです。
かわるがわるに出し続ける
屁を燃やし、聖火台のように
火を絶やさないようにしています」
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北小岩 |
「なんと!」
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町有数の
金持ち
社長 |
「この町に住む人たちは
華麗なる屁技に敬意を表し、
資金を出し合って
一族に御殿を建てたのです」
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北小岩 |
「そうでございますか。
異彩を放つと申しましょうか、
異臭を放つと申しましょうか。
ともかく、
とてつもない方々であることだけは
確かですね」
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小林 |
「あれはなんや?」
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町有数の
金持ち
社長 |
「屋根の上で
金色の玉が揺れてますよね。
『玉御殿』と呼ばれています」
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小林 |
「聞きなれんな。
玉子で一旗揚げたんか」
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町有数の
金持ち
社長 |
「御殿の主の玉金は常に揺れていて、
そのゆらぎは人を癒す
ヒーリング効果があるんですね」
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北小岩 |
「もしかすると、
1/fゆらぎでございますか」
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町有数の
金持ち
社長 |
「そうなんですよ。
主の玉金と屋根の金色の玉は
ラインで結ばれていて、
振動に合わせて揺れているのです。
人々はそれを見て癒されるために、
お金を出し合って
御殿を維持しています」
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北小岩 |
「わたくし、御殿といえば
ニシンやホタテしか
思い浮かびませんでしたが、
様々なのでございますね」
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所かわれば御殿もかわる。
みなさまの町にも、このような御殿が
あるかもしれません。
特に屋根にご注目あれ。 |