KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の四百八拾七・・・吊り革

コンコン コンコン

「入ってますか」

「入ってますよ」

トイレの話ではない。
先生宅を訪れた要人は、
このような合言葉を用いるのである。
こたえた男は、弟子の北小岩くんであった。

北小岩 「おひさしぶりでございます。
 社長様は大変お忙しいと存じますが、
 今日はいかがなされましたか」
町の
社長
「懇意にしている会社が
 都心にあるのだけれども、
 そこの社長が
 エゲツないエロ本が好きでねえ。
 逸品を送ってくれというのだが、
 ブツがあまりにエゲツなさすぎて、
 とてもじゃないが送れないんだよ。
 万が一ということもあるからね。
 そこで先生とあなたに
 届けてほしいんだ。
 信用できる人にしか頼めないだろ」
北小岩 「そうでございますか」
町の
社長
「先生とあなたは、
 社会的な信用はゼロというか、
 マイナスといったほうが
 当たっていると思うが、
 エロ本の運搬に関しては
 これほどに信用できるコンビは
 いないだろう」
北小岩 「ありがとうございます」
町の
社長
「多分あなたたちのことだから、
 10時間ぐらい歩いて
 行くつもりだろうが、
 それもまたリスクがともなう。
 交通費とお駄賃を渡すから、
 必ず電車で行ってくれ」

社長がお札入りの封筒を出した刹那、
現れたのは。

小林 「こっちの方向から、
 金の匂いがするんやが」
北小岩 「社長さんから
 エロ本運搬のお仕事と、
 お金をいただきました」
小林 「そうだったか」
町の
社長
「よろしくおねがいんもう〜〜〜!」
小林 「しょうちんこ〜〜〜!」

ともかく師弟は駅に向かい、電車に飛び乗った。

北小岩 「以前と吊り革の感じが
 違っている気がいたします」
小林 「確かにな」
女性 「キャー、痴漢〜〜〜!」

ぎゅい〜〜〜ん

北小岩 「吊り革が生き物のように
 動き出しました!」
痴漢 「うっ!」

吊り革は痴漢のイチモツをとらえると、
一気に輪を縮めて締め付け、
そのまま釣り上げた。

痴漢 「うお〜〜〜!
 千切れる〜〜〜!!」

一方、毎日毎日お年寄りや
赤ちゃんを連れたおかあさんに
親切な男子中学生には。

男子
中学生
「あれ?吊り革が下りてきた」

いつの間にか、
輪っかの部分に特殊レンズがついている。

男子
中学生
「なんだろ、のぞいてみよう。
 うわ〜〜〜!」

なんと、前に座っているOLの
スカートの中が透けて見える
特殊なレンズであった。

吊り革は進歩をとげ、
ある時は悪者を懲らしめ、
またある時は善人にいい思いをさせている。
今後も注目していきたい。

小林秀雄さんへの激励や感想などは、
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2014-02-02-SUN

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