KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の四百八拾八・・・美術館

すやすやすやすや

赤ちゃんのような寝息をたてているのは、
弟子の北小岩くんであった。

「・・・むひゅ〜〜〜」

尻子玉を抜かれたようななさけない寝言は、
やはり弟子の北小岩くんであった。

「まっ、まさか!」

いきなり、はっきりしすぎた寝言に変わった。

「うっ、うお〜〜〜!」

小林 「どうしたんや!」

弟子の絶叫を聞き駆け付けた師であった。

北小岩 「あっ、先生。
 血相を変えて、
 いかがなさったのでございますか」
小林 「何とぼけたことを言っとるんや!
 お前が叫ぶから、
 強盗でも入ったのかと
 思ったんやろ!!」
北小岩 「大変申し訳ございません!
 実はわたくし、
 夢を見ていたのでございます」
小林 「どうせまたくだらん夢とは思うが、
 言うてみい」
北小岩 「一枚の葉もついていない、
 やせた木がございました」
小林 「ほほう。
 お前にしちゃ、哲学的やな」
北小岩 「その木の枝に、
 わたくしのイチモツが
 ぶらさがっていたのです。
 それも二つ折りにぐんにゃりして」

小林 「まるでサルバドール・ダリの
 『記憶の固執(柔らかい時計)』
 のようや。
 そういやこの間、
 新聞配達のにいちゃんが
 美術館のチケットを
 二枚落としていったんやが、
 拾っといた。
 これもなんかの縁や。
 行ってみよか」

縁というより、縁もゆかりもないと言った方が
正しいのではあるが、
ともかく師弟は町中央に位置する美術館へ。

小林 「ここに来るのも久しぶりやな」
北小岩 「そうでございますね。
 女性のお客様が多いですね」

ピ〜〜〜〜

突然、警報音が鳴り響いた。

美術館
警備員
「ただ今から、
 展示されている芸術品を諌めます。
 目隠しをお渡しするので、
 しばらく目を覆ってください」
小林 「なんのこっちゃ」

美術館警備員の人たちが、
絵画や彫刻にライオンが牙を剥いてる
巨大な写真を見せている。

小林 「お前ら、みんなを目隠しして、
 何をたくらんどるんや!」
美術館
警備員
「あっ、
 見つかってしまいましたか。
 実をいうと、
 近頃『男が描かれた絵画』や、
 『男の彫刻』のイチモツが、
 ふくらんで大きくなる時間帯が
 ありまして」
北小岩 「なんと!」
美術館
警備員
「それで怖い写真を見せて
 萎えさせているのです」
北小岩 「ここは女性が多い美術館ですから、
 そのままふくらませとくという方法も
 あるのではございませんか」
美術館
警備員
「それも考えたのですが・・・。
 やはりそれでは、
 美術館ではなく、
 秘宝館になってしまうのですね」


あなたがもし、どこかの美術館で
目隠しされたとしたら、
絵画や彫刻の男が股間を
ふくらませていることを疑ってくださいね。

小林秀雄さんへの激励や感想などは、
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2014-02-09-SUN

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