ちゃら
|
北小岩 |
「先生、
ポケットからお金が落ちました」
|
小林 |
「虎の子の大金や」
|
それを
見ていた
ガキ |
「おっさんたち、
お金っていっても
一円玉一個じゃん」
|
北小岩 |
「何をおっしゃいますか。
一円を笑う者は
一円に泣くと申します。
あなた様もいつか
一円に泣くことになりますよ」
|
それを
見ていた
ガキ |
「一円に泣く?
泣くわけないだろ。
俺今、一万円持ってるんだよ。
ほら」
|
ひらひら
|
小林&
北小岩 |
「うわ〜〜〜!」
|
どたっ
師弟は久しぶりに高額紙幣を見て、
その場に倒れこんでしまった。
|
それを
見ていた
ガキ |
「あげないよ〜〜〜」
どこかに消えてしまった。
|
北小岩 |
「巨額のお金に慣れていないため、
めまいがしてしまいました」
|
小林 |
「実をいうと俺もや。
俺たちはある意味
ストイックに生きてきたんやが、
ストイックの方向を
変えた方がええかもしれんな」
|
北小岩 |
「わたくしの友人で、
信じられないほど
ストイックな生き方をしている方が
三人いらっしゃいます。
『ストイックな三本の矢』と
呼ばれております」
|
小林 |
「凄そうな男たちやな」
|
北小岩 |
「彼らを訪ねてみましょうか」
|
小林 |
「そやな」
弟子をナビゲーターに、
先生はあほ面下げてついていった。
|
北小岩 |
「ストイックな三本の矢の方々は、
それぞれ特長がございます。
一本目の矢の方は、
あの上にいらっしゃると思います」
|
北小岩くんが指差す方向には、
粗末な火の見櫓があった。
二人は梯子をのぼりながら。
|
北小岩 |
「彼は幼少のころより
ストイックに遠くばかりを眺め、
視力を鍛え上げてまいりました。
そのため、近くは
あまり見えなくなり、
歩いている時にポールがあると、
ポールを打ってしまいます」
|
小林 |
「己を犠牲にしてまで、
いち早く火事を発見して
町に貢献しようとしてるんやな。
火の見櫓だけに、見上げたもんや」
|
名台詞をはいたと悦に入る先生を無視し、
櫓に這い上がり。
|
北小岩 |
「お久しぶりでございます。
いかがですか」
|
スト
イックな
一本目の
矢 |
「やあ、北小岩くんか。
今ね、
4キロ先のマンション6階に
住んでいるOLさんが
着替えているんだけど、
ノーパンで町に
出ていくみたいなんだよね」
|
小林 |
「なにっ!
お前もしかすると、
4キロ離れたところにいる
女のそんなところまで
見えるんかい!」
|
スト
イックな
一本目の
矢 |
「そうですよ。
そんなところどころか、
もっと奥の、
奥ひだまで見えますよ」
|
小林 |
「なんと!」
|
北小岩 |
「それほどまでに、
ストイックに目の修行を
つまれてきたのですね」
|
スト
イックな
一本目の
矢 |
「そういえば、
もうすぐ二本目の矢が
来るんだけど」
|
スト
イックな
二本目の
矢 |
「やあ!」
|
スト
イックな
一本目の
矢 |
「おっ、来た来た。
調子はどうだい?」
|
スト
イックな
二本目の
矢 |
「川の向こうを歩いている
米粒ぐらいに見える
ケバめの女がいるじゃない。
あの人、
パンティを二日間、
履き替えてないよ。
コクがあるもん」
|
小林 |
「お前はあんなに遠くの女の
パンティの匂いを
嗅げるんかい!」
|
北小岩 |
「それほどストイックな鍛え方を
してきたのでございますね」
|
ここにはいないが、
ストイックな三本目の矢と呼ばれる男は、
おそろしく遠くにいる男女が
いやらしいことをしている音を聞けるという。
ストイックな三本の矢の方々・・・。
凄まじいともいえますが、
単に合法的なデバ亀な気もします。 |