梅雨本番。
なめくじのような雰囲気で
信号待ちをしているのは、恥垢師弟であった。
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小林 |
「歩行者用の信号が
三つになっとる」
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北小岩 |
「そうでございますね。
上が赤で止まっている人、
下が青で歩いている人」
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小林 |
「だがその下に、
第三の信号とでも呼ぶものが
ついておる」
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北小岩 |
「お楽しみ信号と
書かれております」
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その時、
道の向こうに設置されている箱の前面が開き、
ミニスカートの女性が現れた。
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ミニ
スカート
の女性 |
「信号待ちって退屈でしょ。
だから私が、
退屈を退治しちゃうわ」
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小林 |
「よくわからんが、
ええことが始まる気配やな」
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北小岩 |
「そうでございますね」
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ミニ
スカート
の女性 |
「だけど信号はちゃんと守ってね」
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小林&
北小岩 |
「は〜い」
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北小岩 |
「今は普通に赤でございますね」
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小林 |
「むっ、第三の信号が点滅した」
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北小岩 |
「え〜と、
『パンチラ』という文字が
出ました」
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ミニスカ女性が、
もともと見えているのではないかというほど
短いスカートを指でつまんで上にあげる。
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小林&
北小岩 |
「うお〜〜〜!」
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ミニ
スカート
の女性 |
「待ってる間、楽しんでね〜〜〜」
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小林&
北小岩 |
「は〜〜〜〜〜〜い」
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北小岩 |
「また点滅を始めました!」
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小林 |
「今度はもっと
凄いことになること、
間違いなしや」
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ところがメインの信号が青に変わってしまい。
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ミニ
スカート
の女性 |
「信号は守らなきゃね」
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師弟はしぶしぶ横断歩道を渡る。
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小林 |
「こちら側からでは、
箱の中が見えんな。戻るか」
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北小岩 |
「当然でございますね」
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再び横断歩道を渡り、
先ほどの位置へ。
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小林 |
「下半身がわくわくするな」
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北小岩 |
「点滅を始めました」
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小林 |
「おお!
『赤貝』と出とるわ!!」
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ミニ
スカート
の女性 |
「赤貝、行くわよ〜〜〜」
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小林 |
「せっかくの赤貝やが、
遠すぎてよう見えんな」
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北小岩 |
「そうでございますね」
二人は夢遊病者のように、
横断歩道をふらふら進んでいく。
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ミニ
スカート
の女性 |
「信号は守らなきゃダメって
いったじゃない。
赤なのに渡ったわね。
仕方ないわ」
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女性がボックスにあるレバーを引くと。
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小林&
北小岩 |
「うわ〜〜〜」
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横断歩道に落とし穴があり、
二人は真っ逆さま。
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小林 |
「なんやこれは!」
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北小岩 |
「犬の糞が敷き詰めてあります。
臭いでございます〜〜〜」
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ルールを破ったために、
お仕置きされてしまったのだ。
それにしても、第三の信号って、
いったい何なんでしょ。 |