小林 |
「今日もまた、空気が燃えとるな」
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北小岩 |
「暑さで頭の中に、
蜃気楼が現れております」
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小林 |
「それはそうと、
今年あたり
大発生しそうな気がするんや」
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北小岩 |
「何がでございますか」
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小林 |
「セミや」
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北小岩 |
「はっ。
そういえば、
17年前の夏を思い出しました」
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小林 |
「思えば不思議な光景やったな」
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北小岩 |
「そうでございますね。
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小林 |
「かなりなさけない思いをしたな」
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北小岩 |
「まったくでございますね」
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先生と弟子は、なさけない思いをするのが
生まれてきた使命なので、
別段珍しいことではないのだが。
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小林 |
「おっ、向こうから
まぬけそうな男がやってくる」
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北小岩 |
「あの方の股間に、
17年ゼミの兆候が見られます」
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どういうことだろうか。
目を凝らしてみよう。
まぬけな男の股間は、
ややもっこりしているのだが、
言われてみればセミのような形をしている。
じ〜〜〜
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北小岩 |
「鳴きだしました」
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小林 |
「やっぱり17年ゼミや!」
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股間の
セミの
鳴き声 |
『じ〜〜〜が好きで
たまりません〜
じ〜〜〜が好きで
たまりません〜』
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自慰が好きでたまりませんと鳴いているようだ。
つまり17年ゼミとは、
約17年に一回男のイチモツが
セミの形になってしまう現象で、
イチモツの持ち主の意思は尊重されずに
思っていることを鳴き声化してしまうのである。
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北小岩 |
「むっ、
先生の股間にも17年ゼミが!」
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小林 |
「そういうお前の股間にも・・・」
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北小岩
くんの
股間の
セミ |
『おっぱ〜いつくつく〜
おっぱ〜いつくつく〜』
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小林先生
の股間の
セミ |
『パンティの奥〜〜〜
みんみ〜んでへへ〜〜』
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女性が二人、横断歩道を渡ってきた。
二人とも、空手の道着を下げている。
師弟の横を通り過ぎようとした時。
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北小岩
くんの
股間の
セミ |
『おっぱ〜いつくつく〜
おっぱ〜いつくつく〜』
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小林先生
の股間の
セミ |
『パンティの奥〜〜〜
みんみ〜んでへへ〜〜』
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道着を
下げた
怖そうな
女の人A |
「あんたら、今何か言った?」
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小林&
北小岩 |
「いえ、何も」
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北小岩
くんの
股間の
セミ |
『おっぱ〜いつくつく〜
おっぱ〜いつくつく〜』
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小林先生
の股間の
セミ |
『パンティの奥〜〜〜
みんみ〜んでへへ〜〜』
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道着を
下げた
怖そうな
女の人B |
「てめえら変態か!」
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道着を
下げた
怖そうな
女の人A |
「回し蹴りいくか」
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ぼすっ ぼすっ
ぐにゃ ぐにゃ
17年を経てやっと鳴きだしたのに、
二人の股間のセミはあえなく絶命した。
とはいえ、まったく悲しい気持ちはおこらない。 |