北小岩 |
「これでは字が
書けないでございます」
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シュッシュッ
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北小岩 |
「こうすればなんとか」
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シュッシュッ シャッ
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北小岩 |
「痛っ!
指先に割れ目が
できてしまいました!!」
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小林 |
「お前、昼間っから
割れ目がどうしたとか、
エロにもほどがあるやろ!」
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北小岩 |
「申し訳ございません。
同じ鉛筆をずっと
使い続けていたために、
長さが5ミリになってしまったのです。
まだまだ使えると思い、
公園で拾ってきた安全カミソリで
削っていたところ、
指先を切り、
そこが割れ目のように
なったのでございます。
痛たたっ。
割れ目を舐めないと、
出血が激しくなります!」
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小林 |
「ものを大切にする心は
エラいと思うが、
その後の言動は
エロいといった方がええな。
ともかく、
5ミリの鉛筆を削るのは
危険かもしれん。
文房具屋に行ってみるか」
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小林先生は、
割れ目を舐め続ける北小岩くんに浣腸しながら、
歩を進めた。
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小林 |
「ここで買い物をするのも
久しぶりやな」
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北小岩 |
「そうでございますね」
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買い物が久しぶりというのは、正しくない。
所持金は常に、先生が2円、弟子が2円、
計4円なのである。
以前、ここを訪れた際には、
長い期間陳列されていて
損傷の激しくなった文具を、
拝み倒して店員からもらったというだけの
話である。ものもらいというべきであろう。
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小林 |
「だいぶ風景がかわったな」
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北小岩 |
「フィッティングルームの
ようなものがあります。
男女が入っていきました」
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中の男 |
「どれどれ、えへへへ」
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キュッキュッ
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中の女 |
「あっ、ほんとに消えたわ。
今度は私の番ね」
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中の男 |
「おほほっ〜!」
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北小岩 |
「いやらしさの予感に
満ちておりますが、
何をしているのでございましょうか」
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店員 |
「革命的な商品が出ましてね。
こすると陰毛を
消すことができる
消しゴムなんですよ」
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北小岩 |
「なんと!」
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小林 |
「それに何の意味があるのかは
わからんが、
画期的であることだけは確かやな」
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中からまた奇妙な会話が聞こえてきた。
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中の女 |
「ひとまずどれぐらいの
期間にしとく?」
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中の男 |
「そうだな、
一年ぐらいにしとこうか」
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ビュッ ペタッ
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中の男 |
「くすぐったいな」
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小林 |
「今度は何をしとるんや」
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店員 |
「それもまた革命的な商品なんです。
おちんちん用の印鑑なんですよ。
つきあっている女性の名前を
捺印するんです。
期間が選べ、
その間は絶対に落ちません。
女性にとっては、
このおちんちんは私のものという
主張になるのですね」
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小林 |
「・・・」
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今、文房具屋さんの商品ラインナップが、
劇的に変わりつつあるようだ。
これからどのような展開を見せるのか、
予断を許さない。 |