小林 |
「これで俺も、
ジェントルマンにしか
見えんやろな」
|
だら〜っ
|
小林 |
「しまった!
ネクタイの結び方がわからん」
|
北小岩 |
「あれっ、先生。
スーツを持ってらしたのですか」
|
小林 |
「持ってるわけないやろ。
エロ本友だちの社長から
借りたんや」
|
北小岩 |
「そうでございましたか」
|
小林 |
「ところがネクタイの締め方が
わからなくてな。
お前、知っとるか」
|
北小岩 |
「確か、己の金玉の大きさに
結べばよいと
うかがったことがございます」
|
小林 |
「そうだったか」
|
締められないので、
やたらとでかい結び目だけをつくった。
|
小林 |
「まあええやろ。
これを手に持っとれば、
玉の大きさだけはわかるやろ」
|
まったく意味のないことである。
|
北小岩 |
「ところで先生は、
なぜおめかししているので
ございますか」
|
小林 |
「小学校時代の
ミニ同窓会があってな。
もちろん俺が一番出世したと
思わせる作戦やな」
|
先生など、出世という言葉を
口にするのもおこがましい。
|
小林 |
「ほな、行ってくるわ」
|
北小岩 |
「再会をお楽しみください」
|
小林 |
「地図が来とったな。
こっちか。
金持ちになったやつも
おるだろうから、さぞ立派な。
むっ!」
|
先生がむっ! と声をあげたのも、
むべなるかな。
会場は隣町空き地のどかんの中だった。
|
小林 |
「仕方ない。
入ってみるか」
|
そこには先客が一人。
|
小林 |
「おお!
珍皮(ちんかわ)やないか」
|
珍皮
(ちんかわ) |
「久しぶりだな」
|
小林 |
「近頃どうや?」
|
珍皮 |
「すっかり視力が落ちてな」
|
小林 |
「しゃあないな。
でも、お前、目だけは
やたらとよかったやないか」
|
珍皮 |
「ここについてる目は2.0だよ」
|
小林 |
「悪くないやないか」
|
珍皮 |
「俺の視力が落ちたのは、
顔についてる目じゃないんだ」
|
小林 |
「どういうこっちゃ」
|
珍皮 |
「視力が落ちたのは、
ちんちんの目なんだ」
|
小林 |
「なんじゃそりゃ!」
|
珍皮 |
「お前知らないのか。
ちんちんには視力があって、
例えば小便をする時に、
便器につかないように
目を凝らしてるんだよ。
ところが二年ほど前から
距離感がつかめず、
便器にべったりつくように
なってしまってな。
きたねえ便器だと、
ほんと困っちまうよ」
|
普段あまり意識しないことであるが、
ちんちん自身にも視力があるらしい。
そのことは、頭の片隅に
置いておいた方がよいかもしれませんね。 |