KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の伍百参拾四・・・欄干

北小岩 「随分ほこりが
 溜まっておりますね」

ぱたぱたぱた

先生の書棚にはたきをかけるのは、
弟子の数少ない仕事である。

ぱたぱたぱた どん

ざざざっ

北小岩 「先生所蔵の名著が」

名著と言っても。

北小岩 「日本に数冊しか
 現存しないと言われている
 エロ本でございます」

そんなことだろう。

北小岩 「久々に
 拝見させていただきます」

パラパラッ

北小岩 「むっぎょわ!」

エロ本を近づけたり遠ざけたりしていた弟子が、
奇妙な声を発した。

北小岩 「わたくしの目の前
 三十センチのところにあると、
 とてつもなくエゲツない
 エロ本でございます」

目ん玉をぎょろぎょろさせながら。

北小岩 「その位置ですと、
 はっきりとエロを
 認識できるのですが、
 近づけすぎるとぼやけてしまい、
 エロではなくなってしまいます。
 ということはでございます、
 エロというのは
 焦点が合うその一点にしか
 存在しないのでは
 ございませんか。
 それ以外はエロであって
 エロでない。
 別次元の世界に
 なってしまうのです」

わかったようなわからぬような思索に耽る
弟子であった。

小林 「朝っぱらから
 エロがどうしたと、
 何考えとるんや」
北小岩 「あっ、先生」
小林 「そんなことより、
 町長から調べ事の依頼が来た」
北小岩 「町の裏図書館に所蔵する
 エロ本の吟味ですか」
小林 「ちゃうな。
 ここから三里離れた町に、
 川が流れていないのに
 欄干がたくさんできとるらしい。
 なぜだか突き止めてくれ
 という話や。
 行ってみよか」

先生と弟子は、よっちゃんイカ各自一袋で、
その大役を引き受けた。

小林 「この町やな。
 確かに欄干だらけやな」
北小岩 「パンティが見えるほどの
 ミニスカをはいている女性が、
 欄干を三角木馬のように
 またいでおります」

ぎゅい〜ん ぎゅい〜ん

小林 「動き出したで」
パンティ
が見える
ほどの
ミニスカ
をはいて
いる女性
「ああ、
 いいわ〜〜〜!」

小林 「なるほど。
 欄干の上に、
ゴム状の突起があるな」
北小岩 「おや。
 あそこの欄干のそばで
 どこかの町から来たらしい
 ナンパ師に、
 しつこく付きまとわれている
 女性がおります」

ぎぎ〜

小林 「欄干の柱の部分が
 途中から折れたで」

ぎゅ〜 ばこ〜ん

ナンパ師 「ぎょえ〜〜〜!」
北小岩 「欄干が高速で動き、
 ナンパ師の金玉を
 とらえました!」


三里離れた町にできた欄干は伊達ではない。
みなさまも、近場にある欄干について
考えるよい機会かもしれませんね。

小林秀雄さんへの激励や感想などは、
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2014-12-28-SUN

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