小林 |
「正月からだいぶたったな」
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北小岩 |
「そうでございますね」
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小林 |
「近所をひと回りすれば、
あまってしまった餅を
もらえるかもしれんな」
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北小岩 |
「この時期、
お正月用のお餅が
カビていたりしますから」
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小林 |
「そこが狙い目やな。
あまっているなら
食べてあげないでもない
ということを
さりげなくアピールしよか」
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北小岩 |
「では参りましょう」
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相変わらずみみっちい師弟ではあるが、
強引に言えば、
生きていく知恵があるという見方も
できるかもしれない。
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小林 |
「まずは三軒先の
珍宝(ちんぽう)さんの
家からやな」
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トントン
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珍宝 |
「どうぞ!」
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ガラッ
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北小岩 |
「先客がいらっしゃいますね。
あなたさまも、
お正月のお餅ですか?」
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先客 |
「餅じゃないな。
正月が終わると、
見向きもされなくなるものが
あるだろ。
それが不憫でな」
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北小岩 |
「どういうことでしょうか」
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先客 |
「例えば羽子板」
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言うが早いか先客はパンツをさげ、
手にしている羽子板で思いっきり金玉を打った。
か〜ん! か〜ん!
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小林 |
「むっ!」
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北小岩 |
「おちんちんと金玉が外れ、
羽根のようになっております!」
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先客 |
「コマにしてもそうだろ」
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いつの間にか股間に戻っているちんちんに、
コマのひもを巻きだした。
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北小岩 |
「おちんちんが、
焼き豚のようになっております」
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びゅん
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北小岩 |
「ひもを引きました」
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ぐるんぐるん
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北小岩 |
「うわっ!」
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男のちんちんが再びとれ、
コマのように回りだしたのである。
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北小岩 |
「わたくし、
いちもつがこのような勢いで
回っているところを
見たことございません」
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ゆっくり回っているものでさえ、
見たことはないであろう。
お餅をもらうため
珍宝家を訪れた師弟であったが、
とてつもない光景に遭遇した。
先客のいちもつは恐るべき才能を
持っているといえるのだが、
そんなことができても、なんらうらやましくはない。 |