北小岩 |
「春の陽気でございますね」
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小林 |
「もうコートもいらんかもしれんな」
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北小岩 |
「先生はコートを
持っていらっしゃいましたか」
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小林 |
「長い期間俺とおるのに、
そんなことも知らんのか」
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北小岩 |
「見たことございません」
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小林 |
「これや」
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北小岩 |
「むっ!」
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先生のぼろぼろのシャツの内側に、
汚い字でコートと書かれていた。
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北小岩 |
「確かに持ってらっしゃいました」
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小林 |
「まあな。
おっ、あそこに
見たことのない
フォーチュンテラーがおる」
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北小岩 |
「凄い迫力でございます」
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小林 |
「大きな水晶を持っとるな」
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北小岩 |
「いかがいたしましょうか」
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小林 |
「話を聞いてみるか」
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二人が抜き足差し足で近づくと。
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フォー
チュン
テラー |
「なんか用かな」
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北小岩 |
「さすがでございます!
泥棒よりも数段上と言われた、
わたくしたちの抜き足差し足を
見破るとは」
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小林 |
「本物やな!」
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ごつっ
ゴロン キーン!
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フォー
チュン
テラー |
「痛ぇ!」
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北小岩 |
「申し訳ございません!」
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弟子がテーブルにぶつかってしまい、
衝撃で転がった巨大水晶が
フォーチュンテラーのイチモツの上に落ちたのだ。
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小林 |
「ともかくこの町の男たちが
これからどうなっていくのか
占ってもらえんか」
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フォー
チュン
テラー |
「よいでしょう。
たまたま〜!」
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水晶の玉をなでると。
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フォー
チュン
テラー |
「行く末がうつりました。
パンティが空を飛んでおります」
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小林 |
「誰のパンティや?」
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フォー
チュン
テラー |
「『あやの』のパンティと
出ています」
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北小岩 |
「あやのさんといえば、
町一番の美女ではございませんか」
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小林 |
「それからどうなるんや」
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フォー
チュン
テラー |
「町の男たちが
『あやの』のパンティと気づき、
落ちてきたら
自分のものにしようと
追いかけています」
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小林 |
「それで?」
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フォー
チュン
テラー |
「どんどん人数が増えてきました。
町のすべての男が
パンティを追いかけています」
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小林 |
「誰の手に渡るんや?」
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フォー
チュン
テラー |
「高い崖がうつりました。
あっ、すべての男が
パンティを取ろうとして
崖から落ちました」
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北小岩 |
「わたくしたちの運命は?」
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フォー
チュン
テラー |
「全滅しました」
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小林&
北小岩 |
「・・・」
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先生の町の男たちにふさわしい、
まぬけな死にざまである。 |