KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の伍百四拾六・・・全滅

北小岩 「春の陽気でございますね」
小林 「もうコートもいらんかもしれんな」
北小岩 「先生はコートを
 持っていらっしゃいましたか」
小林 「長い期間俺とおるのに、
 そんなことも知らんのか」
北小岩 「見たことございません」
小林 「これや」
北小岩 「むっ!」

先生のぼろぼろのシャツの内側に、
汚い字でコートと書かれていた。

北小岩 「確かに持ってらっしゃいました」
小林 「まあな。
 おっ、あそこに
 見たことのない
 フォーチュンテラーがおる」
北小岩 「凄い迫力でございます」
小林 「大きな水晶を持っとるな」
北小岩 「いかがいたしましょうか」
小林 「話を聞いてみるか」

二人が抜き足差し足で近づくと。

フォー
チュン
テラー
「なんか用かな」
北小岩 「さすがでございます!
 泥棒よりも数段上と言われた、
 わたくしたちの抜き足差し足を
 見破るとは」
小林 「本物やな!」

ごつっ

ゴロン キーン!

フォー
チュン
テラー
「痛ぇ!」
北小岩 「申し訳ございません!」

弟子がテーブルにぶつかってしまい、
衝撃で転がった巨大水晶が
フォーチュンテラーのイチモツの上に落ちたのだ。

小林 「ともかくこの町の男たちが
 これからどうなっていくのか
 占ってもらえんか」

フォー
チュン
テラー
「よいでしょう。
 たまたま〜!」

水晶の玉をなでると。

フォー
チュン
テラー
「行く末がうつりました。
 パンティが空を飛んでおります」
小林 「誰のパンティや?」
フォー
チュン
テラー
「『あやの』のパンティと
 出ています」
北小岩 「あやのさんといえば、
 町一番の美女ではございませんか」
小林 「それからどうなるんや」
フォー
チュン
テラー
「町の男たちが
 『あやの』のパンティと気づき、
 落ちてきたら
 自分のものにしようと
 追いかけています」
小林 「それで?」
フォー
チュン
テラー
「どんどん人数が増えてきました。
 町のすべての男が
 パンティを追いかけています」
小林 「誰の手に渡るんや?」
フォー
チュン
テラー
「高い崖がうつりました。
 あっ、すべての男が
 パンティを取ろうとして
 崖から落ちました」
北小岩 「わたくしたちの運命は?」
フォー
チュン
テラー
「全滅しました」
小林&
北小岩
「・・・」


先生の町の男たちにふさわしい、
まぬけな死にざまである。

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2015-03-22-SUN

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