チュンチュン チュンチュン
|
北小岩 |
「スズメさんがさえずっております」
|
小林 |
「そやな」
|
北小岩 |
「春なんですね」
|
小林 |
「スズメと言えば、
有名な句があったな」
|
北小岩 |
「そうでございますね。
『スズメの子
そこのけそこのけ
馬並が通る』」
|
小林 |
「一茶やな。
句の中で最も男らしいものや」
|
二人の知識には、根本的な欠陥がある。
|
北小岩 |
「先生、
あっちこっちに
春が来ているはずでございます」
|
小林 |
「そやな。
公園に行ってみるか」
|
二人は近所の小学校に捨ててあった万力で
お互いのイチモツを挟み、
その痛さを動力に公園に向かった。
|
小林 |
「いろんな春を探してみよか」
|
北小岩 |
「かしこまりました」
|
ほ〜ほけきょ
|
北小岩 |
「ウグイスの鳴き声でございます」
|
小林 |
「あの木の向こうからやな」
|
子弟が駆け付けると。
|
小林 |
「変なおっさんがちんぽを出しとる」
|
北小岩 |
「あっ、
その部分が
ウグイスになっております」
|
変な
おっさん |
「あったかくなったと思ったら、
突然ちんちんが
鳴くようになったんだよ」
|
北小岩 |
「ともかく春をひとつ
見つけましたね」
|
小林 |
「なんや、あの人だかりは」
|
春を採集すべく移動する師弟。
|
北小岩 |
「タキシードを着た
ジェントルマンが、
お尻の穴を出しております」
|
人だかり
の人A |
「見事な花ですね」
|
人だかり
の人B |
「毎年この時期になると、
お尻の穴が咲くのですからね」
|
北小岩 |
「とっ、ともかく
二つ目の春を見つけました」
|
小林 |
「美しいとは言えんな」
|
北小岩 |
「わたくし、
尿意をもよおしました。
トレイに行ってまいります」
|
じょぼ〜〜〜
|
北小岩 |
「おしっこが
桜色をしております!
先生に
お知らせせねばなりません」
|
だーっ
|
北小岩 |
「先生、
わたくしのおしっこにも
春がやってまいりました。
桜色した尿が」
|
小林 |
「早く病院いかんかい!」
|
本来春は心をウキウキさせてくれるものだが、
先生の町を訪れる春は
限りなく暗黒に近いものである。 |