ふわ〜ふわ〜〜
くんくん くんくん
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小林 |
「ええ香りがするな」
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北小岩 |
「そうでございますね」
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小林 |
「モカマタリやな」
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北小岩 |
「モッコリマタノアタリ
でございますか」
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小林 |
「お前はほんとに
ものを知らんな。
コーヒーの名前や」
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北小岩 |
「先生がコーヒーを
お飲みになっているところを
見たことございませんが、
よく細かいところまで
お分かりになりますね」
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小林 |
「昔、隣の家に
全裸に近い下着をつけとる女が
住んでてな。
その部屋ののぞきを
よくしてたんやが、
女が飲んでいたのが
モカマタリだったんや」
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北小岩 |
「なるほど。
のぞきの映像とともに、
香りが記憶されたのですね」
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小林 |
「うむ」
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ろくな記憶ではない。
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小林 |
「駅の裏手に
カフェができたらしいな」
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北小岩 |
「そうらしいですね」
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小林 |
「とんでもなく美人の
マスターらしいな」
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北小岩 |
「オーダーすると
大変セクシーになると
聞いております」
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小林 |
「行かないわけには
いかないやろな」
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二人は道に落ちていた犬の糞に顔を近づけ、
もしかしたらそのまま
顔についてしまうのではないかという恐怖を
原動力に、カフェに向かった。
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小林 |
「ここやな。
オールスタンディングや」
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北小岩 |
「先生、
壁に貼ってあるメニューが
変でございます」
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客A |
「マスター、
『チンティー』をひとつ」
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美人
マスター |
「は〜い」
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小林 |
「なんや、
チンティーというのは」
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美人
マスター |
「お待ちどうさま」
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客 |
「ありがとう!」
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客がティーカップを持った刹那。
ボスッ
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客 |
「うう!」
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ビシャッ
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客 |
「あちい!!!
イチモツが!!」
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小林 |
「見たか!」
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北小岩 |
「はい!確かに」
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小林 |
「金玉を蹴った瞬間
ミニスカートの奥が見えたが」
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北小岩 |
「ノーパンでございました」
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小林 |
「客はそのオアシスを求め」
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北小岩 |
「甘んじて金玉を砕かれ、
熱を浴びせかけられるので
ございます」
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チンコーヒー、チンミルク・・・。
男の悲しさ漂う店だが、
どこか憎めないのである。 |