「先生に北小岩さん」
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小林 |
「なんや」
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「そこの端っこを、それぞれ持っていただけますか」
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小林 |
「ええやろ」
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「みんな乗っていいよ」
「わ〜い」
「わ〜い」
びゅ〜んび〜ゅん
「空飛ぶじゅうたんだぞ」
「わ〜!」
これはいったいどういうことであろう。
先生が住む町には、
多くの人から愛されている名物男がいる。
その名も『ふんどしさん』。
常に長さが10メートルある
真っ白いふんどしを締めている。
ふんどしさんはそこに子どもたちをのせ、
空飛ぶじゅうたんみたいに全速で動くのだ。
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小林 |
「持ってる方も大変やけど、
ふんどしさんなら仕方ないわな」
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先生でさえ、ふんどしさんには一目置き、
愛している。
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小林 |
「まだ白タクはやっとるんか」
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ふんど
しさん |
「やってます」
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お年寄りが道で歩けなくなった時、
ふんどしさんは今回の要領で、
お年寄りを乗せて目的地まで
運んであげるのである。
町の人はふんどしの乗り物を
白タクと呼んでいる。もちろん無料だ。
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北小岩 |
「山にも行かれてますか」
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ふんど
しさん |
「たまにいきますね」
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北小岩 |
「まだあれをやっているのですか」
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ふんど
しさん |
「やってますね」
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あれというのは、これのことである。
女性が山で便意をもよおし、
藪で用を足さねばならない時、
風を利用して女性の前方を
ふんどしでのぼりのようにして
目隠しにするのだ。
北海道の山でふんどしのぼりをした時、
強風で玉金が丸見えになった。
その時クマに襲われ、
玉金を果実と勘違いしたクマに
その部分を食べられそうになったのだが、
毛穴から臭い汁を出し追い払ったのだ。
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北小岩 |
「なかなかできることでは
ございませんね」
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そんなふんどしさんなのであるが、
実家の用事で
田舎に帰らなければならなくなった。
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北小岩 |
「さみしすぎるでございます」
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小林 |
「考え直してくれへんか」
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ふんど
しさん |
「無理です。
しかし、あなたのどちらかが
ふんどしを身につけてくださって、
ふんどしさんを
継承していただければと。
このふんどしはお二人に預けて、
わたくしはふるちんさんとなり、
生きていきます。
ではさよおなら」
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プ〜っ
ほんとにおならをして、去っていった。
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北小岩 |
「あれほどの聖人ですから、
股間も臭くないのでしょう」
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弟子がふんどしのちんちんが当たる部分の
匂いを嗅いでみた。
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北小岩 |
「うげ〜!
ちょ〜臭いでございます!!」
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聖人でも股間が臭い。
そのことがわかりましたね! |
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