小林 |
「俺の知り合いに
一風変わった
発明家がおってな」
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北小岩 |
「先生のご友人は
多士済々でございますね」
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小林 |
「そいつが今、
聞きなれない釣りを
始めたらしくてな」
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北小岩 |
「そうでございますか」
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小林 |
「何でも
陸釣りと言っとったな」
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北小岩 |
「わたくしのような凡人には、
それがどのようなものなのか
見当もつきません」
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小林 |
「発明家ならではの釣りだと
自画自賛しとったわ」
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北小岩 |
「ぜひ同行させていただきたく
存じます」
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小林 |
「今日決行するらしいから
ついてくか」
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二人は道に落ちていた破魔矢で
お互いの急所を突きあい、
その痛みを原動力として発明家の家に急いだ。
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小林 |
「ここやな」
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ガチャッ
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北小岩 |
「出てまいりました」
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小林 |
「どや、釣りの方は」
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発明家 |
「ついに完成しました。
これですよ」
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小林 |
「むっ!」
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先生がむっ! といったのもむべなるかな。
その釣竿についてここで詳述するのは
やめておこう。
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発明家 |
「では行きましょう」
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三人が向かった場所は、
公園にある大きな公衆トイレだった。
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発明家 |
「ちょっと待っててください」
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氏は大便どころに入ると、
トイレットペーパーを手に出てきた。
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発明家 |
「準備は整いました。
建物の裏に隠れていましょう」
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しばらくすると苦し気な顔をした若者が
駆け込んできた。
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苦し気な
顔をした
若者 |
「もっ、もれる〜!」
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大便どころに入り用を足し。
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苦し気な
顔をした
若者 |
「ふ〜、助かった。
やばい! 紙がない」
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発明家 |
「紙ありますから、
上から入れますね」
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苦し気な
顔をした
若者 |
「ありがとうございます!」
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発明家は妙な釣り竿にセットされた
トイレットペーパーを回転させ、
糸を垂らすようにしゃがんでいる若者の
目の前でぶらぶらさせた。
若者はトイレットペーパーを引っ張り、
ケツを拭いたのだが。
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苦し気な
顔をした
若者 |
「変だな、
このトイレットペーパー。
ケツの穴にくっついて
離れないぞ」
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発明家 |
「魚がかかりました!
トイレットペーパーに
見えますが
これは特殊な紙で、
絶対に破れません」
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渾身の力でリールのハンドルを回す。
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苦し気な
顔をした
若者 |
「うお〜〜〜!」
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若者はお尻から釣り上げられてしまった。
こんなことばかりしている発明家なんて、
世の中に必要ありませんよね。 |