KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の伍百九拾九・・・初恋に逢う

「へ〜い、浣腸だ!」

「きゃ〜〜〜!」

よい大人が何をしているのだろう。

「へ〜い、浣腸だ!」

「きゃ〜〜〜!」

聞き間違いかと思ったが、
やはり聞き間違いではなかった。

「へ〜い、浣腸だ!」

誰の声かといえば、先生の住む町の町長である。

「きゃ〜〜〜!」

町の娘の声。このような経緯もあり、
町長は浣腸長と呼ばれていた。

小林 「浣腸長が何やら
 ロマンチックなことを
 やっとるらしいな」
北小岩 「もっぱらの噂でございますね」
小林 「今どき浣腸のポーズで
 女を追い回して、
 捕まらんのが不思議やな」
北小岩 「浣腸長ならではの
 かわいげみたいなものが
 ございますので、
 ギリギリ許されているのですね。
 うらやましい限りです」
小林 「俺も真似して浣腸のポーズで
 女を追い回したことがあったが、
 怪力女子に捕まり
 そのままの指の形で両人差し指を
 へし折られたことがあったな」

北小岩 「その方を狙っていたわけでは
 なかったですよね」
小林 「そやな。
 女性の場合、
 ターゲットの反撃より、
 周りにいる者の代理攻撃の方が
 はるかに恐ろしいわな」
北小岩 「ロマンチックというのは
 何でしょう」
小林 「町の男らが
 初恋の女に再会する
 手助けをしたらしいんや。
 今日がその日やから、
 会場に行ってみよか」

師弟が到着すると、大の男らが号泣していた。

大の男
「ほんとに逢えるなんて。
 もう、とっくの昔に
 あきらめていたんだよ」
大の男
「まさか、こんな僥倖が」
大の男
A&B
「う〜っ、くく〜う!」
北小岩 「初恋の方に惚れ抜いて
 いたのでございましょう」
小林 「思わずもらい泣き
 しそうになるな」
北小岩 「ところで
 想いをよせていた方は、
 どちらにいらっしゃるのでしょうか」
小林 「ひと目見たいわな」
北小岩 「もしもし。
 無粋だとは思うのですが、
 貴方様の初恋の方は?」
大の男
「ああ。ここにいるよ!」

それは古びたエロ本であった。

大の男
「俺が初めて
 お世話になった彼女さ」
小林 「もう一人のやつはどうなんや」
大の男
「僕の人は、これだよ!」

男Bが数メートル離れたところから
手にしてきたのは、
古びたダッチワイフであった。

小林&
北小岩
「・・・」


先生の町にロマンチックを
期待すること自体が間違いであった。

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2016-03-27-SUN

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