だらり〜ん
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小林 |
「何の変哲もない一日やな」
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北小岩 |
「そうでございますね」
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だらだらり〜ん
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小林 |
「お前近頃、
スケベなことを考えているか、
何も考えていないか、
どちらかやろ」
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北小岩 |
「さすが先生でございます。
なぜお分かりになったので
ございますか」
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小林 |
「俺がそうだからや」
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その後もレベルの低い会話が続いたのであるが、
突如引き裂かれる。
「うっ、う〜!!」
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北小岩 |
「妙な声が聞こえませんでしたか」
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小林 |
「艶っぽくない声やな」
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北小岩 |
「あそこに男の人が
うずくまっております。
もしもし、どうなさいましたか」
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うずく
まって
いる人 |
「どこからか
荒くれ者たちがやってきて、
殴られてカツアゲされて・・・」
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小林 |
「ほっとけん事態やな」
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うずく
まって
いる人 |
「私だけではなく、
多くの人が被害にあっています。
そいつらは、
また来るぞと言い放って
去っていったのです」
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北小岩 |
「それは一大事でございます」
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うずく
まって
いる人 |
「あなた様方の力で
何とかして
いただけないでしょうか」
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小林 |
「まあ、俺一人いれば十分やが、
念には念をいれとくかな」
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先生など千人いてもやられてしまうだろう。
師弟は町の長老のもとに出向き、
知恵を授かることとした。
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町の
長老 |
「何の用だ!
えげつないエロ本の世界を
彷徨していたというのに」
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北小岩 |
「町に荒くれ者たちが現れ、
善良な町民が
カツアゲされているのでございます」
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小林 |
「長老なら最強のヤツを
知っていると思ったんや。
紹介してもらえんか」
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町の
長老 |
「俺が知っている範疇で
最強は、千手観音だな」
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北小岩 |
「なんと!
意味がよくわかりませんが、
千手観音様にはどうすれば」
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町の
長老 |
「俺が知り合いの寺に
言っといてやるから、
荒くれ者たちに
ぶつけてみるといいわ」
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それから数時間後・・・
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荒くれ
者A |
「あんなところに
カモが二人いるな」
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荒くれ
者B |
「二人にプラスして
妙なやつがいるけど構わねえ。
やっちまえ」
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小林 |
「来やがったな」
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北小岩 |
「千手観音様、
お願いいたします」
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荒くれ
者A |
「まずこいつからシメるか」
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ププププププププププププププププププププ
ププププププププププププププププププププ〜
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荒くれ
者B |
「なんだ!
屁をこきやがった!!」
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パッパッパッパッパッ
パッパッパッパッパッパッ
パッパッパッパッパッパッパッパッパッパッパッ〜
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荒くれ
者A |
「それも千本の手で
にぎりっ屁をしやがった!
臭え!!」
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小林 |
「ざまあみやがれ。
この方はただの千手観音やない。
『にぎりっ屁千手観音』や!
この糞野郎どもに
とどめをさしたれ!」
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ブリッブリッブリッブリッ
ブリッブリッブリッブリッ
ブリッブリッブリッブリッ
ブリッブリッブリッブリッ〜
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荒くれ
者B |
「うお〜!
実まで出しやがった!!」
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にぎりっ屁千手観音は、千本の手にのせた実を、
糞野郎どもの顔に間断なく投げつけた。
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荒くれ
者A |
「汚たねえ!
逃げろ〜〜〜!!」
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奴らが再び現れることはなかった。
本来、ヒーローものは
悪者が懲らしめられると爽快感をもたらすが、
にぎりっ屁千手観音の場合は、
あまり爽やかではありませんね。 |