KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の六百・・・最強

だらり〜ん

小林 「何の変哲もない一日やな」
北小岩 「そうでございますね」

だらだらり〜ん

小林 「お前近頃、
 スケベなことを考えているか、
 何も考えていないか、
 どちらかやろ」
北小岩 「さすが先生でございます。
 なぜお分かりになったので
 ございますか」
小林 「俺がそうだからや」

その後もレベルの低い会話が続いたのであるが、
突如引き裂かれる。

「うっ、う〜!!」

北小岩 「妙な声が聞こえませんでしたか」
小林 「艶っぽくない声やな」
北小岩 「あそこに男の人が
 うずくまっております。
 もしもし、どうなさいましたか」
うずく
まって
いる人
「どこからか
 荒くれ者たちがやってきて、
 殴られてカツアゲされて・・・」
小林 「ほっとけん事態やな」
うずく
まって
いる人
「私だけではなく、
 多くの人が被害にあっています。
 そいつらは、
 また来るぞと言い放って
 去っていったのです」
北小岩 「それは一大事でございます」
うずく
まって
いる人
「あなた様方の力で
 何とかして
 いただけないでしょうか」
小林 「まあ、俺一人いれば十分やが、
 念には念をいれとくかな」

先生など千人いてもやられてしまうだろう。
師弟は町の長老のもとに出向き、
知恵を授かることとした。

町の
長老
「何の用だ!
 えげつないエロ本の世界を
 彷徨していたというのに」
北小岩 「町に荒くれ者たちが現れ、
 善良な町民が
 カツアゲされているのでございます」
小林 「長老なら最強のヤツを
 知っていると思ったんや。
 紹介してもらえんか」
町の
長老
「俺が知っている範疇で
 最強は、千手観音だな」
北小岩 「なんと!
 意味がよくわかりませんが、
 千手観音様にはどうすれば」
町の
長老
「俺が知り合いの寺に
 言っといてやるから、
 荒くれ者たちに
 ぶつけてみるといいわ」

それから数時間後・・・

荒くれ
者A
「あんなところに
 カモが二人いるな」
荒くれ
者B
「二人にプラスして
 妙なやつがいるけど構わねえ。
 やっちまえ」
小林 「来やがったな」
北小岩 「千手観音様、
 お願いいたします」
荒くれ
者A
「まずこいつからシメるか」

ププププププププププププププププププププ

ププププププププププププププププププププ〜

荒くれ
者B
「なんだ!
 屁をこきやがった!!」

パッパッパッパッパッ パッパッパッパッパッパッ

パッパッパッパッパッパッパッパッパッパッパッ〜

荒くれ
者A
「それも千本の手で
 にぎりっ屁をしやがった!
 臭え!!」

小林 「ざまあみやがれ。
 この方はただの千手観音やない。
 『にぎりっ屁千手観音』や!
 この糞野郎どもに
 とどめをさしたれ!」

ブリッブリッブリッブリッ
ブリッブリッブリッブリッ

ブリッブリッブリッブリッ
ブリッブリッブリッブリッ〜

荒くれ
者B
「うお〜!
 実まで出しやがった!!」

にぎりっ屁千手観音は、千本の手にのせた実を、
糞野郎どもの顔に間断なく投げつけた。

荒くれ
者A
「汚たねえ!
 逃げろ〜〜〜!!」

奴らが再び現れることはなかった。
本来、ヒーローものは
悪者が懲らしめられると爽快感をもたらすが、
にぎりっ屁千手観音の場合は、
あまり爽やかではありませんね。

小林秀雄さんへの激励や感想などは、
メールの表題に「小林秀雄さんへ」と書いて
postman@1101.comに送ってください。

2016-04-03-SUN

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