小林 |
「大運動会の季節やな」
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北小岩 |
「そうでございますね」
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小林 |
「大というのは」
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北小岩 |
「大便の大。
ゴールの途中に、
トイレの小部屋がございます」
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小林 |
「必ずそこに入り、
大便をしなければならんわけや」
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北小岩 |
「駆け引きがとても難しいですね」
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小林 |
「便器に計量器がついとるから
ごまかしがきかんな」
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北小岩 |
「競技の順位だけではなく、
そのつどのグラム数が
大きく加算されますからね」
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小林 |
「みんなそのために
数日前からためこんどるからな」
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北小岩 |
「総合優勝すると
1万円もらえますから必死です」
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わけがわからないものの、
過酷であることは想像に難くない。
それほどまでに過酷な競技の総合優勝賞金が
1万円というのは、あまりに安すぎる気もするが、
師弟はそれぞれ所持金が2円ずつ。
合せても4円なので、
1万円といえば天文学的数字なのである。
「100メートル大競争に
エントリーしている方は、
スタート地点に集合してください」
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北小岩 |
「行ってまいります」
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小林 |
「俺かお前どちらかが優勝して、
それでしばらく生き延びようや」
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北小岩 |
「かしこまりました」
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バーン!
北小岩くんがスタートした。
69メートルの所にある小部屋まで全力疾走する。
しかし、小部屋はイスとり競争のように、
一人だけ入ることができない。
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北小岩 |
「しまったでございます!
みなさん韋駄天ぞろいで・・・」
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ぐぐぐぐっ
弟子の下腹が、不気味な音を奏でる。
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北小岩 |
「すぐに出せるように
肛門を開いて走ってきましたが、
もう限界でございます」
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ぶりりあんと〜〜〜
もらした音は高集音マイクで拾われ、
PAシステムで増幅され会場に流される。
電光掲示板番に「脱糞人!」の巨大な文字が
映し出された。
失笑の渦の中、
北小岩くんが肩を落として戻って来る。
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小林 |
「前を向いて歩け!
俺が仇はとったる!!」
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先生の最初の種目は借り物競争だった。
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小林 |
「むっ!
客席の女のパンティか。
俺にパンティをくれたい女は、
山ほどおるわ!」
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そんなわけがあるはずない。
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小林 |
「そこの女、
パンティを貸してくれや!」
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女 |
「何言ってんのよ!
これでもくらえ!!」
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ボスッ!
ぶりりあんと〜〜〜
電光石火の蹴りが、先生の下腹をとらえた。
この日の為にためこんだブツを、
一気に放出してしまった。
電光掲示板には、やはり
「脱糞人!」の文字が躍った。
先生たちは賞金をもらうどころか
一張羅のふんどしを汚してしまい、
フルチン生活を余儀なくされた。 |
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