先生の住む町では、
夜ごと同じ会話が繰り返される。
|
男 |
「なぁ、いいだろ」
|
女 |
「ダメよ」
|
男 |
「俺とお前の中じゃないか」
|
女 |
「ダメなものはダメ」
|
睦言とは異なる。
|
男 |
「あの言葉、
小学生の頃から
気になって気になって
仕方ないんだよ」
|
女 |
「そんなこと言ってもダメよ」
|
男女の小学生時代に、時計の針を戻してみよう。
男子は校庭に出され、
女子だけが教室で話をきいている。
|
女の
先生 |
「わかりましたね」
|
女の子
たち |
「は〜い」
|
女の
先生 |
「何があっても
この言葉の意味を、
男の子に教えてはいけませんよ」
|
女の子
たち |
「は〜い」
|
この言葉とはなんだろう。
|
男 |
「『けまんば』って
いうからには、
そうとうエッチなことだろう」
|
女 |
「絶対に教えちゃいけないのよ」
|
男 |
「俺とお前は、
とてつもなくエッチなことを
してきた仲じゃないか」
|
女 |
「比較にならないわ。
この世のモノとは思えない程、
エッチなこととだけ
教えておくわ」
|
男 |
「うお〜〜〜!
知りたくて知りたくて
気が狂いそうだ!」
|
この町では100年前から小学校高学年になると、
女子だけ『けまんば』という言葉を習う。
その意味を知っているのは女子だけで、
男子には決して
教えてはいけない掟となっている。
|
北小岩 |
「小林先生は
『けまんば』をご存知ですか」
|
小林 |
「知らん」
|
北小岩 |
「小学校の男の先生なら
知っているのでは
ないでしょうか」
|
小林 |
「俺もそうだと思って
締めあげたことがあるが、
ほんとに知らなかったな」
|
北小岩 |
「ますます知りたくなるで
ございますね」
|
こんなこともあった。
亡くなる寸前のおじいさんが。
|
じい
さん |
「なあ、ばあさんや」
|
ばあ
さん |
「はい」
|
じい
さん |
「わしはもう長くない。
一つだけ願いを聞いてくれんか」
|
ばあ
さん |
「はい」
|
じい
さん |
「『けまんば』が
どれだけいやらしいことなのか、
知らずに死ねんのじゃよ」
|
ばあ
さん |
「はい」
|
じい
さん |
「どういう意味なのか、
教えとくれ」
|
ばあ
さん |
「それだけは堪忍です」
|
じい
さん |
「うう。
お迎えが来たようじゃ。
早く早く」
|
ばあ
さん |
「堪忍です」
|
じい
さん |
「ううう・・・
けまんば〜〜〜〜〜〜!」
|
ぽく
そこまでして秘密にしなければならない
『けまんば』って、いったいなんなんでしょうね。 |
|
|