ざっざっ
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北小岩 |
「毎日落ち葉掃除をしております。
もうすぐ葉っぱが
すべて散りますので、
しばらくお掃除は
おやすみですね」
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ぴゅ〜〜
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北小岩 |
「エロ本の1ページが
風に舞っております」
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ピカッ
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北小岩 |
「わたくしの目が光りました。
確かにこのエロ本は、
先生所有のものと比べましても、
一、二を争う
えげつなさでございます。
ぜひ捕獲しなければ!」
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ぴゅ〜〜〜ぴゅ〜〜〜
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北小岩 |
「あっ!
下水の穴に
入ってしまいました」
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ぴちゃ
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北小岩 |
「ここには汚水が
流れているのでございますね。
今なら間に合います」
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弟子は穴の中を凝視した。
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北小岩 |
「脳裏に焼きつけておけば、
使えるかもしれません」
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じ〜〜〜
「北小岩さん、
何をしていらっしゃるのですか」
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北小岩 |
「その声は、旧友の
『ちん車回留(ちんぐるままわる)』
さんでございますね。
この中にとてつもなく
えげつないエロページが
落ちてしまったのです。
仕方ないので
記憶しているところでございます」
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ちん車 |
「後からお楽しみ行為に
使用できるかもしれませんから、
大切なことですね」
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北小岩 |
「ちん車さんに
お会いするのは
久しぶりですので、
小林先生宅で
お茶でもいかがですか」
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ちん車 |
「できれば、先生の書斎を
拝見させていただければと思います」
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先生宅に着くと弟子は
さっそくちん車さんを案内した。
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北小岩 |
「こちらでございます」
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ちん車 |
「どんな文学作品に出会えるのか、
楽しみにしておりましたが、
ほとんどエロ本ですね」
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北小岩 |
「そうですね」
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ちん車 |
「あっ、ここに
小林秀雄名言集がございます。
先生はこのようなご本を
出されているのですか」
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北小岩 |
「いいえ、
そんなはずはございません。
きっと同姓同名の方の著書では。
むっ、このこ汚い字は、
先生が記したものです」
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ちん車 |
「手書きですね。
通常名言集というのは、
その方が亡くなられた後に
お弟子さんが編んだり、
生前でも他の方が
珠玉の言葉を集めたりするのでは
ありませんか」
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北小岩 |
「そうですね。
何が書かれているのか、
読んでみますね。
え〜と、
『金玉は笑わせるためにある』」
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ちん車 |
「いわれてみれば、
そんな気もいたしますね。
例えば道に大きな杭が
出ているとします。
通りかかった男性が
顔を打ってしまったら、
こちらまで深刻な気持ちに
なってしまうでしょう。
しかし、男性が気づかずに
金玉を打ったとしましょう。
ご本人には気の毒ですが、
思わず笑ってしまうでしょう」
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北小岩 |
「確かにそうでございますね。
名言の一番目がそれですと、
つい二番目も
知りたくなりますしね」
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今のところ名言は69あるらしいのです。
価値のあるものとは思えませんが、
そのうち暇な時にでも、
またのぞいてみましょうか。 |