KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の六百四拾伍・・・同じ色

キラキラ〜

北小岩 「空が澄んで
 星がとても美しいでございますね」
小林 「そやな」
北小岩 「お月様の隣に、
 ひときわ輝いている
 お星様がございます」
小林 「金星やろな」
北小岩 「むっ!
 いつもは一つなのに、
 今日は二つ煌めいております!」
小林 「やはりあの噂は
 ほんとうやったか」
北小岩 「先生、
 大変でございます。
 数が増えただけではなく、
 お星様が動き出しました。
 これは天変地異の予兆に
 間違いございません!」
小林 「そうあわてるな」
北小岩 「すぐにでも逃げた方が
 いいのではございませんか」
小林 「以前、
 天文学者と雑談した時に
 ちらっと聞いたんやが、
 多分大丈夫やで」
北小岩 「もし、大丈夫ではない場合、
 とんでもないことに
 なるのではないですか」
小林 「確かめにいくか」

二人はお正月にお金持ちの人から
殻だけいただいた、
巨大なタラバガニの爪をお互いの急所に刺し、
「うお〜!」という勢いを利用し、
天文学者の家にたどり着いた。

天文学者の名前は、
満星舐目流(まんぼしなめる)という。

 
小林 「こやつが、
 星の数が増えたり
 動いたりしとるから、
 天変地異が起ると
 言っとるんやが」
満星 「それは杞憂ですね」
北小岩 「なぜでございますか」
満星 「あれは星ではないのですよ」
北小岩 「えっ?
 ではいったい、
 何なのでございますか」
満星 「とてつもなく大きな人の
 金玉なんですよ」
北小岩 「百歩譲らせていただきまして、
 そうだといたしましょう。
 でも、人がまったく
 見当たりませんでした」
満星 「空とまったく
 同じ色をした人が
 いたとしたら、
 その人は見えるでしょうか」
北小岩 「はっ。
 確かに見えません」
満星 「空とまったく
 同じ色をした人が、
 全裸で立っていたんですよ。
 ちょうどお月様の隣に来る
 ポジションでね」
北小岩 「しかし、
 なぜそこが光っていたので
 ございますか」
満星 「金玉に夜光塗料を
 塗っていたんですよ」
北小岩 「なるほど」

小林 「なっ、北小岩。
 大丈夫やろ」
北小岩 「そうでございますね」

師弟は笑顔で帰っていった。

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2017-02-12-SUN

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