小林 |
「俺たちも、もっとはっきり
世のため人のためになることを
したほうがええな」
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北小岩 |
「御意にござります。
わたくしたち、
見ようによっては
遊び人と思われているかも
しれません」
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遊び人というほど高級なものではなく、
スケベなちんかす人と思われているであろう。
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小林 |
「世のため人のために
なった上で、
なおかつ金が儲かるに
越したことはないわな」
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北小岩 |
「もちろんでございます」
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小林 |
「俺たちだって、
霞を食って
生きとるわけやないからな」
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霞というより、恥垢を食って生きているのだろう。
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北小岩 |
「そのように
素晴らしいお仕事は
あるのですか」
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小林 |
「ああ。今は何の季節や」
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北小岩 |
「桜でございます」
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小林 |
「桜といえば」
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北小岩 |
「花見でございます」
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小林 |
「花見といえば」
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北小岩 |
「飲みすぎて、
おしっこがしたくなります」
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小林 |
「そこやな」
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北小岩 |
「なるほど!」
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小林 |
「小便を漏らしそうになっても、
都合よくそこに便所はない」
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北小岩 |
「昔と違い、
今は立ち小便への
軽蔑のまなざしは
すさまじいですからね」
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小林 |
「失禁の危機を救ってやる」
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北小岩 |
「これほどの人助けは
ございません」
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小林 |
「しかし、
世の中そこまで
甘くはないわな」
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北小岩 |
「漏らしそうな
度合に応じて、
使用料が
上がっていくのですね」
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小林&
北小岩 |
「にょにょにょ
にょにょ〜〜〜!」
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二人は知り合いの便器屋さんに行き、
いらなくなった便器とタンクを譲り受けた。
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小林 |
「桜はマン開に近づいとるな」
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北小岩 |
「出陣いたしましょう」
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二人は野球場で
ビールの売り子さんが背負うように、
男性用小便器と小型タンクを装着し、
花見客でにぎわう公園に繰り出した。
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小林 |
「カモがたくさんおるな」
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北小岩 |
「ちんちんかもかもですね」
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舞い上がってしまい、
わけのわからないことをのたまう。
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小林 |
「しゃがんだほうが、
客が集まるわな」
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先生がしゃがんだ刹那。
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客A |
「もう膀胱が破裂しそうだ」
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客B |
「やべえな、俺もだよ」
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客C |
「おっと、
こんなところに便器があるぞ」
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小林 |
「一回一万円」
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じょぼじょぼじょぼ〜〜〜
先生が言い終わる前に、
放水を始めてしまった。
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小林 |
「おい!
便器からはみ出しとるわ」
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先生はびしょびしょになっている。
その後も長蛇の列ができたが、
誰一人料金を払う男はいなかった。
めでたしめでたし。 |