パタパタ
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北小岩 |
「ずいぶんほこりが
たまっているでございます」
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パタパタパタ
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北小岩 |
「と申しましても、
お掃除を怠っていた
わたくしの責任でございます」
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ジロッ
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北小岩 |
「むっ、
ここの本の一群には、
ほこりが溜まっておりませんね」
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カタッ
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北小岩 |
「この段は、
先生が愛用なさっている
エロ本群でございます。
もとに戻しておきましょう。
それにしましても、
男は気に入ったエロ本を
長期間好きでいることが
多いでございます。
好きなタイプ、好きな角度など、
もしかするとDNAに
刻み込まれているのかもしれません」
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バサッ
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北小岩 |
「むむっ、
落ちたものは
エロ本ではございません。
漢文でございます。
先生の書斎に
エロ本以外のものがあろうとは」
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小林 |
「お前、エロ本エロ本と
人聞きの悪いことを
近所中に轟く音量で叫ぶんやない」
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北小岩 |
「あっ、先生。
わたくし、今まで先生の書斎には
エロ本しかないものと
信じておりました。
しかし、漢文も一冊あることに
気付きました」
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小林 |
「何勘違いしとるんや。
俺は若い頃、
漢文のコブラと呼ばれていたんや」
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北小岩 |
「そうなのでございますか。
町はずれに寺子屋と呼ばれる
漢文教室ができたと
聞いております。
行ってみませんか」
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いつもなら、
お互いに玉袋のつけ根に指を強く押し付け、
何度も往復させてそのイカ臭さを動力に
現場に急行する二人であったが、
今日は近場なのでただ歩いて行った。
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塾長 |
「国やぶれて山河あり」
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小林 |
「やっとるな。
基本中の基本や」
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塾長 |
「そこに立っているお二方、
何をしておるのかな」
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北小岩 |
「わたくしの隣に
いらっしゃる方は、
恥垢にしか見えないと
思いますが、
実はその昔
漢文のコブラと
呼ばれていたのでございます」
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塾長 |
「ほほう。
では一緒にいかがかな」
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小林 |
「君らはレ点を使って
学ぼうとしておるが、
邪道やな。
俺ほどのものにはレ点などいらん」
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バサッ
先生は漢文の教科書を手荒に放り投げた。
その刹那。
びゅ〜ん
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北小岩 |
「あっ、
教科書から
たくさんのレ点が飛び出し、
先生の方に飛んでいきます」
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グサグサグサ
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小林 |
「うお〜〜〜!」
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北小岩 |
「レ点が先生の金玉に
刺さりました!」
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どうやらレ点を小馬鹿にしたため、
怒って反撃したらしい。
奇妙な気もしますが、
結局どうでもいいお話ですね。 |