北小岩 |
「暑いでございます」
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小林 |
「そやな」
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北小岩 |
「先生はこのような時、
どのように平静を
保つのでございますか」
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小林 |
「うちわやな」
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北小岩 |
「凡庸でございますね」
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小林 |
「そのセリフ、
飲みこんでケツの穴から
出すことになるで」
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先生は矮小なモノを出すと、
昨年の夏まつりにゴミ箱から拾ってきた
うちわを持ち、凄まじい勢いで煽ぎだした。
ブオン ブオン
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北小岩 |
「むっ、ちんちんが
風で浮かびました!」
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ブオン ブオン
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小林 |
「右」
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北小岩 |
「ちんちんが
風で右を向きました!」
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小林 |
「左」
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北小岩 |
「今度は左に!」
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先生のブツは、ペットボトルのフタとの
ニックネームがあるように、
度はずれて小さいため、
風で簡単に飛ばされるのであろう。
あまりに馬鹿々々しいので、
うちわ話はこのへんにして。
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北小岩 |
「今日はいかがいたしましょうか」
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小林 |
「知り合いの言語学者から、
一部で言葉の意味が
変わってきているらしいから、
確かめてくれとの依頼があってな」
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北小岩 |
「先生にぴったりの奥深いお話ですね」
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小林 |
「ともかく行ってみようや」
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二人は駅に急行したのだが、
先生はブツが小さ過ぎて途中まで
出したままであることに気づかなかった。
それもまた、どうでもいいことであろう。
言語学者からもらった乗車券で乗り込むと。
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北小岩 |
「別段変わったことも
なさそうですね」
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小林 |
「そやな」
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その刹那、アナウンスが流れた。
「安全運転を心がけておりますが、
やむを得ず、
急停車することがございます。
おたちの方は、吊り革、手すりに
おつかまりください」
ぱっぱっぱっ
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北小岩 |
「多くの男性が動き出しました」
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小林 |
「30人はおるな」
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北小岩 |
「先生、あの方たちの股間を
ごらんください!」
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小林 |
「むっ!」
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北小岩 |
「吊り革、手すりに
つかまった方たち、
総ダチでございます!」
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男らの股間は、大きくテントを張っていた。
確かに、おたちのみなさまである。
意味が変わってきているという、
言語学者の説は正しいだろう。
しかし、一両の中に30人は、
どう考えても多すぎる気がする。 |