北小岩 |
「そろそろ着くころだと
思うのですが」
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小林 |
「裸の女でも来るんか」
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北小岩 |
「そうではございません。
古くからの友人が
新車を買ったらしいのです」
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小林 |
「ほほう。
そういえば、
俺たちの車は
長期間運転しとらんな」
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北小岩 |
「腕がにぶってしまうかも
しれません」
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小林 |
「たまにはドライブするか」
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北小岩 |
「はい」
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弟子がボロボロの蔵から愛車を二台出してきた。
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小林 |
「庭のコーナーをキメるで」
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北小岩 |
「かしこまりました」
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ぎ〜こぎ〜こ
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小林 |
「いくで!」
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北小岩 |
「ブッ、ラジャー!」
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ぎこぎこぎこぎこ
がしゃん
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北小岩 |
「うお〜!
愛車が倒れて、
金玉を挟みました!」
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小林 |
「俺もや!」
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先生と弟子の愛車は、
何年も前にゴミ捨て場で拾った
錆びついた一輪車であった。
カーブを曲がろうとして二人してこけ、
サドルと地面の間に金玉を挟んだのである。
ぶぶ〜っ
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北小岩 |
「友がやってまいりました」
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友 |
「ひさしぶり」
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北小岩 |
「立派な新車でございますね」
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友 |
「見かけだけではわからない、
優れたところがあるんだよ。
まず、
排気管の後ろに
立ってみてくれる」
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弟子が移動する。
ぶおんぶおん
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北小岩 |
「むっ!
排気ガスではなく、
屁の香りがします!」
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友 |
「そうなんだよ。
近頃とんでもなく
臭い屁を嗅ぐことが
少なくなってる気が
しないかい」
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北小岩 |
「確かに」
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友 |
「だから、
僕の車で
嗅がせてあげようと思って、
排気ガスを
おならガスにかえる
特殊装備にしたんだ。
マフラーも自由に
開閉できるんだよ。
開いてみるね」
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ぶおんぶおん
ぷ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!
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北小岩 |
「排気音が
屁の音になりました」
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友 |
「それから、
渋滞で合流するときに、
お礼を言いたい時が
あるだろ。そんな時にはこれだ」
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友がスイッチを押すと
艶っぽい女の声が轟いた。
「入れてくれてありがとう♥
気持ちよく最後までイケそうよ♥」
その他にも
乱暴運転している車に対しては
パトカーのサイレンのように
怒張したちんちんが顔を出したり、
ワイパーが卑猥な動きをするなど、
創意工夫がなされていた。
そんなものが必要かは、よくわからないが。 |
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