KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の六百七拾四・・・アイデア

チャリ チャリ

小林 「いくらあった」
北小岩 「2円でございます」

チャリ チャリ

北小岩 「いかがでございますか」
小林 「2円やな」
北小岩 「二人合わせて」
小林 「所持金は4円や」
北小岩 「見事に増えませんね」
小林 「捨てたもんやないで。
 お前、金の玉はいくつ持っとる?」
北小岩 「二つでございます」
小林 「俺がいくつ持っとる」
北小岩 「無駄な持物とは思いますが、
 二つでございます」
小林 「二人合わせて金は4、
 所持金も4。
 同じやな」
北小岩 「そうでございますね!」

弟子の表情が豆電球のように明るく灯ったが、
明るくなるほどのことではないであろう。

北小岩 「とはいえ
 何かあった時のために、
 もう少し所持金を増やしても
 よい気がいたします。
 資本がないわたくしたちは、
 どうすればよいのでしょう」
小林 「アイデアで
 突破していく以外
 ないやろな。
 俺の友人に
 小さなアイデアを得意としとる、
 アイデアマン小(こ)と
 呼ばれる男がおる。
 リヤカーで商品を
 売っとるはずやが。
 おっ、
 都合よくあっちから来るで」
アイデ
アマン
「あっ、
 先生と北小岩さんでは
 ありませんか」
北小岩 「わたくしたちは、
 所持金が各自2円なのですが、
 アイデアを起爆剤にして
 増やしたいと思っているのです。
 今、どのような
 アイデア商品がございますか」
アイデ
アマン
「まず、これですね。
 スイッチを入れてみてください」
北小岩 「かしこまりました」

カチッ

「国道69号線
 陰毛交差点を直進し、
 約30メートル先
 左側の家の若奥さんは、
 スケスケのピンクのパンティを
 履いています」

北小岩 「なんですか、これは?」
アイデ
アマン
「スケベナビですね。
 運転中、飽きさせませんよ」

小林 「このカメラ、
 普通にしか見えんが」
アイデ
アマン
「ちょうど向こうから、
 小股の割れあがった
 いい女が参りましたので、
 しゃがんだ体勢で
 シャッターを切ってください」
小林 「こうか?」

びよ〜ん

小林 「むっ、
 望遠レンズが
 どこまでも伸びてくで〜」

レンズが10メートルほど伸び、
女性の秘所をとらえた。

アイデ
アマン
「迫力のある秘所を
 撮ることができます」

「あんた、何やってんのよ!」

ダダダダッ ボコッ!

小林 「ううっ」


女性はダッシュをかけると、
無防備にしゃがんでいる先生の
股間を思いっきり蹴り上げた。
氏もまた、町の女性たちが
積極的に学んでいる金玉空手の
有段者であった。
先生は泡を吹いて気絶した。

このカメラを持つとカメラマンではなく、
カメラ&マンになってしまうのですね。
どうでもいいことですが。

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2017-09-03-SUN

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