「わっしょい」
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北小岩 |
「秋祭りの季節でございますね」
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小林 |
「そやな」
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「わっしょいわっしょい」
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北小岩 |
「だんだんお御輿が
近づいてまいりますね」
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小林 |
「もうすぐ角を
曲がってくるな」
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北小岩 |
「それにしても
お御輿の担ぎ手なのですが、
妙に喧嘩の強そうな方たちが
どこかから集まってきますね」
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小林 |
「普段どこに
生息しとるんやろな」
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北小岩 |
「そうでございますね」
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小林 |
「彼らの褌姿を見ると、
俺たちまで勢いが出るわな」
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北小岩 |
「毎年、金の玉が
はみ出ている方が二、三人
いらっしゃいます」
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「わっしょいわっしょい」
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北小岩 |
「神社に奉納するために、
隣の町のお御輿が
まいりました」
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小林 |
「このままではぶつかるで」
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「わっしょいわっしょい」
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先生の
町の
若武者 |
「なんでえなんでえ、
道をあけねえか」
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先生の
隣町の
若武者 |
「お前らこそどけよ」
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北小岩 |
「どちらの方も、
喧嘩っ早そうでございます」
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先生の
町の
若武者 |
「喧嘩売ってんのか」
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先生の
隣町の
若武者 |
「うるせえ、このやろう」
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ざざざざっ
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北小岩 |
「あっ、行司が現れました」
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行司 |
「町と町の取り決めで、
殴り合いはできません」
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先生の
町の
若武者 |
「取り決めってなんだよ」
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行司 |
「あなた方は
タイマンをしようと
してますね」
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先生の
隣町の
若武者 |
「そうだよ」
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行司 |
「ではまず、
この鯛を買ってください。
料金は後から請求します」
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若武者は各自鯛を持たされた。
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行司 |
「それはメス鯛です。
それぞれの秘所と
思われるところを
くっつけてください」
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先生の
町&
隣町の
若武者 |
「?」
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行司 |
「はい。
タイマン(鯛マン)の
開始です。
二人とも褌を
ほどいてください」
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二人が褌をとると。
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行司 |
「今年から殴り合いは
許されないため、
喧嘩は陰毛の引っ張り合い
のみになりました。
はっ毛よいのこった!」
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若武者たちは相手の陰毛を
ちぎれんばかりに引っ張る。
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先生の
町&
隣町の
若武者 |
「いてててて!」
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いきり立っていた男衆、女衆は、
それを見ると思わず苦笑いした。
若武者たちも馬鹿々々しくなり、
喧嘩をやめました。 |