小林 |
「中秋の名月も過ぎたな」
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北小岩 |
「はい」
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小林 |
「中秋の名月は
満月だという
思い込みがあるが、
ずれることもあるらしいな」
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北小岩 |
「存じませんでした」
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小林 |
「ずれた時の呼び名を
考えんとな」
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北小岩 |
「そうでございますね」
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小林 |
「実はもう考えとる」
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北小岩 |
「うかがわなくてもわかります」
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小林 |
「言うてみい」
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北小岩 |
「言うほどのことでも」
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小林 |
「ほんとはわからないんやろ」
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北小岩 |
「先生の弟子であるなら、
わからないわけないでは
ございませんか」
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小林 |
「言うてみい」
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北小岩 |
「『マンずれ』ですよね」
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小林 |
「なぜわかったんや!?」
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アホらしいので、話を進めよう。
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北小岩 |
「ところで先生、
わたくしは自分の生き方が
行き詰っている気が
するのです」
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小林 |
「そうか・・・」
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北小岩 |
「どうすれば
よろしいでしょうか」
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小林 |
「温故知新やな」
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北小岩 |
「ふるきをたずねる
わけですね」
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小林 |
「俺の友人に、
ふるきという
考古学者がおる。
ふるきがふるきことを
研究しとる。
ダブルふるきや。
ヒントがあるかもしれん」
ヒントがあるとも思えないが、
とにかく二人は考古学者のもとへ。
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小林 |
「近頃なんか発見したか」
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考古
学者 |
「ずっと化石を研究してたら、
化石の声を
聞けるようになったんだよ」
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北小岩 |
「それは素晴らしいことで
ございます。
わたくしがこれから
生きていく上での
ヒントになるに
違いありません。
ぜひ、ご教示ください」
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考古
学者 |
「私は
恐竜のおちんちんの
化石だけを研究しています」
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北小岩 |
「はぁ?」
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考古
学者 |
「秘密なのですが、
この研究所には
恐竜のおちんちんの化石が
複数あります」
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北小岩 |
「あなた様は、
そのおちんちんの化石と
お話ができるように
なったのでございますか」
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考古
学者 |
「そうです」
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北小岩 |
「恐竜のおちんちんの化石は、
なんとおっしゃって
おりましたか」
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考古
学者 |
「複数の化石が、
みな同じことを
力説してます」
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北小岩 |
「わたくしの人生の
道標として、
ぜひお聞かせください」
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考古
学者 |
「化石は異口同音に、
『俺の実力は
こんなもんじゃない!
ほんとはもっと
デカいんだ!!』と
叫んでるんですよ」
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北小岩 |
「・・・」
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北小岩くんの生き方のヒントは、
ありませんでした。 |