KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の六百七拾九・・・ヒント

小林 「中秋の名月も過ぎたな」
北小岩 「はい」
小林 「中秋の名月は
 満月だという
 思い込みがあるが、
 ずれることもあるらしいな」
北小岩 「存じませんでした」
小林 「ずれた時の呼び名を
 考えんとな」
北小岩 「そうでございますね」
小林 「実はもう考えとる」
北小岩 「うかがわなくてもわかります」
小林 「言うてみい」
北小岩 「言うほどのことでも」
小林 「ほんとはわからないんやろ」
北小岩 「先生の弟子であるなら、
 わからないわけないでは
 ございませんか」
小林 「言うてみい」
北小岩 「『マンずれ』ですよね」
小林 「なぜわかったんや!?」


アホらしいので、話を進めよう。

北小岩 「ところで先生、
 わたくしは自分の生き方が
 行き詰っている気が
 するのです」
小林 「そうか・・・」
北小岩 「どうすれば
 よろしいでしょうか」
小林 「温故知新やな」
北小岩 「ふるきをたずねる
 わけですね」
小林 「俺の友人に、
 ふるきという
 考古学者がおる。
 ふるきがふるきことを
 研究しとる。
 ダブルふるきや。
 ヒントがあるかもしれん」

ヒントがあるとも思えないが、
とにかく二人は考古学者のもとへ。
小林 「近頃なんか発見したか」
考古
学者
「ずっと化石を研究してたら、
 化石の声を
 聞けるようになったんだよ」
北小岩 「それは素晴らしいことで
 ございます。
 わたくしがこれから
 生きていく上での
 ヒントになるに
 違いありません。
 ぜひ、ご教示ください」
考古
学者
「私は
 恐竜のおちんちんの
 化石だけを研究しています」
北小岩 「はぁ?」
考古
学者
「秘密なのですが、
 この研究所には
 恐竜のおちんちんの化石が
 複数あります」
北小岩 「あなた様は、
 そのおちんちんの化石と
 お話ができるように
 なったのでございますか」
考古
学者
「そうです」
北小岩 「恐竜のおちんちんの化石は、
 なんとおっしゃって
 おりましたか」
考古
学者
「複数の化石が、
 みな同じことを
 力説してます」
北小岩 「わたくしの人生の
 道標として、
 ぜひお聞かせください」
考古
学者
「化石は異口同音に、
 『俺の実力は
 こんなもんじゃない!
 ほんとはもっと
 デカいんだ!!』と
 叫んでるんですよ」
北小岩 「・・・」


北小岩くんの生き方のヒントは、
ありませんでした。

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2017-10-08-SUN

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