北小岩 |
「私の記憶の中では、
この香りといえば
ふたつしかございません」
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プーン プーン
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北小岩 |
「ひとつめは
めぐり逢いたくないものです。
もうひとつは、ある状態では
めぐり逢いたくないけれども、
ありがたくなるものでございます」
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プーン プーン プーン
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北小岩 |
「確かめねばなりません。
おっ、
やはりそうでございましたか。
とはいえ直接
触るわけにはまいりません」
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落ちていた枝を二本手に取った。
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北小岩 |
「これでつかみます。
やはり犬のフンではなく、
ギンナンでした」
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ひょい
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北小岩 |
「この香りは、
誰の攻撃を避けるための
ものなのでしょう。
ひさしぶりに嗅いでみます」
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鼻づらに近づけたその時。
どかっ
「ごめん!」
全力疾走してきた男がぶつかった。
ど〜ん
北小岩くんは、前向きに倒れた。
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北小岩 |
「うげ〜!
鼻の穴にギンナンが
入ってしまいました!
臭すぎるでございます!!」
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小林 |
「お前、
何騒いどるんや」
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北小岩 |
「あっ、先生!
鼻の穴にギンナンが詰まって
とれなくなりました」
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小林 |
「いつまでも
くだらないことばかり
やっとらんで、
時にはもっと
深い考察をせんとな」
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北小岩 |
「どのようなことでございますか」
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小林 |
「隣町の祠に、
人の記憶を一時的に
取り去ることができる
おばあさんがおるらしい」
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北小岩 |
「ぜひこの目で確かめたいですね」
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鼻の穴にギンナンを詰めたまま、
先生の後をついていく。
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小林 |
「ここや。
おばあさんはおるか」
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おばあ
さん |
「なんか用か」
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北小岩 |
「あなた様は
一時的に記憶を
取り去ることができると
うかがっております」
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おばあ
さん |
「取り去りたいか」
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目が光ると、師弟の様子がかわった。
二人はパンツを脱ぐ。
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おばあ
さん |
「それはなんだ?」
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ちんちんを指さす。
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北小岩 |
「糸巻きです」
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おばあさんが師弟に糸を渡した。
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北小岩 |
「上手に巻かねばなりません」
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二人はちんちんに糸を巻き始めた。
男はちんちんの記憶をなくすと、
そこを糸巻きだと思うのだろうか。
そのことについては、
今後も深い考察が必要であろう。 |
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