KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の六百八拾壱・・・糸巻き

北小岩 「私の記憶の中では、
 この香りといえば
 ふたつしかございません」

プーン プーン

北小岩 「ひとつめは
 めぐり逢いたくないものです。
 もうひとつは、ある状態では
 めぐり逢いたくないけれども、
 ありがたくなるものでございます」

プーン プーン プーン

北小岩 「確かめねばなりません。
 おっ、
 やはりそうでございましたか。
 とはいえ直接
 触るわけにはまいりません」

落ちていた枝を二本手に取った。

北小岩 「これでつかみます。
 やはり犬のフンではなく、
 ギンナンでした」

ひょい

北小岩 「この香りは、
 誰の攻撃を避けるための
 ものなのでしょう。
 ひさしぶりに嗅いでみます」

鼻づらに近づけたその時。

どかっ

「ごめん!」

全力疾走してきた男がぶつかった。

ど〜ん

北小岩くんは、前向きに倒れた。

北小岩 「うげ〜!
 鼻の穴にギンナンが
 入ってしまいました!
 臭すぎるでございます!!」

小林 「お前、
 何騒いどるんや」
北小岩 「あっ、先生!
 鼻の穴にギンナンが詰まって
 とれなくなりました」
小林 「いつまでも
 くだらないことばかり
 やっとらんで、
 時にはもっと
 深い考察をせんとな」
北小岩 「どのようなことでございますか」
小林 「隣町の祠に、
 人の記憶を一時的に
 取り去ることができる
 おばあさんがおるらしい」
北小岩 「ぜひこの目で確かめたいですね」

鼻の穴にギンナンを詰めたまま、
先生の後をついていく。

小林 「ここや。
 おばあさんはおるか」
おばあ
さん
「なんか用か」
北小岩 「あなた様は
 一時的に記憶を
 取り去ることができると
 うかがっております」
おばあ
さん
「取り去りたいか」

目が光ると、師弟の様子がかわった。
二人はパンツを脱ぐ。

おばあ
さん
「それはなんだ?」

ちんちんを指さす。

北小岩 「糸巻きです」

おばあさんが師弟に糸を渡した。

北小岩 「上手に巻かねばなりません」

二人はちんちんに糸を巻き始めた。
男はちんちんの記憶をなくすと、
そこを糸巻きだと思うのだろうか。
そのことについては、
今後も深い考察が必要であろう。
 

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2017-10-22-SUN

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