あおあおあお〜
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小林 |
「完全に葉桜になっとるな」
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北小岩 |
「はい」
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小林 |
「隅の方に、
花びらが溜まっとるな」
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北小岩 |
「はかなげでございます」
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ひゅ〜
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北小岩 |
「むっ。そうでございます!」
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弟子は花びらのもとに駆け寄った。
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北小岩 |
「たくさん集めましょう」
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小林 |
「どうしたんや」
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北小岩 |
「わたくし、
よいことを思いつきました」
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小林 |
「チンかすのような
思いつきやろうが、
言うてみい」
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北小岩 |
「世の女性たちは、
桜が散ってさみしい思いを
しているのではないでしょうか」
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小林 |
「うむ」
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北小岩 |
「桜の花びらを
わたくしたちの股間に
貼り付けたらいかがでしょう」
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小林 |
「女性らは、
満開の股間に注目するやろな」
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北小岩 |
「その奥のモノにも
注目するのではないでしょうか」
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小林 |
「でかしたな!」
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師弟は必死に花びらを集めたが、
根本的にどうでもよい話であろう。
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北小岩 |
「花びらの中で、
だんご虫さんが
亡くなっております」
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小林 |
「はかないことやが、
俺たちもいつかは
天国に向かうんやな」
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北小岩 |
「天国とは
どのようなところでしょうか」
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小林 |
「わからんが、
天国について研究している
知り合いがおる。
行ってみよか」
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二人は全速力で走ればもっと早く着くのだが、
あえて69分かけて
研究家・昇天逝男(しょうてんいくお)氏のもとへ。
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北小岩 |
「天国について
お詳しいと
うかがっております。
天国というのは、
どういうところでしょうか」
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昇天
逝男 |
「男女によって違いますが、
肉体から抜けた男の魂は、
天にある
ミニスカートのもとへ
参ります」
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北小岩 |
「天にミニスカートが
あるのでございますか!」
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昇天
逝男 |
「あります。
ミニスカートの
そばまでは、
誰の魂でもたどり着けます」
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北小岩 |
「そこに閻魔様でも
いらっしゃって、
行く道を
決められるのですか」
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昇天
逝男 |
「閻魔様に近いのですが、
エロ魔様という方が
ミニスカートの中の
パンティに
ぶら下がっております」
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北小岩 |
「そうなのですか」
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昇天
逝男 |
「そうです。
生前、エロ過ぎず
女性にやさしかった人は、
パンティの中に入れます」
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北小岩 |
「エロ過ぎて
女性に
やさしくなかった方は?」
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昇天
逝男 |
「ミニスカートから
ずり落ち、
便所で流されます」
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先生は昇天氏の話を
今までにない真剣な表情で聞いていた。
先生はエロではあるが、モテなさ過ぎて、
現実にエロで女性を傷つける場面はなかった。
ああ見えて、やさしいところもある。
ゆえに、もしかしたら
パンティの中に入ることができ、
その先にあると思われる天国に
行けるかもしれないと思ったのである。 |