KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の七百拾参・・・縫い目

「てえへんだ! てえへんだ!」

北小岩 「何があったのでございましょう」
小林 「瓦版の玉七やな」
北小岩 「氏は、今までは
 大したことのないことで
 瓦版を配っておりましたね」
小林 「そやな」
北小岩 「自分のおちんちんが
 枯れたという記事も
 ございました」
小林 「ヤツのちんちんなど、
 根腐れでもげようが
 構わんわ」
北小岩 「アリが一匹、
 巣とお尻の穴を間違えて
 入ってしまったということも
 ありました」
小林 「アリにとっては
 迷惑な話やが、
 100匹入ろうが10000匹入ろうが、
 どうでもよいわ」
北小岩 「先生のおっしゃる通りで
 ございますね」

だが、今回ばかりは様子が違うようだ。

北小岩 「いつもはゆるい
 玉七さんの表情が、
 きちんと険しいようで
 ございます」
小林 「いわれてみりゃ、そやな」
北小岩 「瓦版を読んでみましょう」

道にゴミのように丸まっている瓦版を
拾い上げると。

北小岩 「むっ!」
小林 「どした?」
北小岩 「『この町始まって以来の
  男らの危機!』と
 書かれております」
小林 「どういうこっちゃ」
北小岩 「うかがってみましょう。
 玉七さん、
 なぜ男らの
 危機なのでございますか」
玉七 「百聞は一見に
 金玉でえい!
 俺の後をついてきな」

師弟が後を追う。
そこで目にした光景とは。

ぷつぷつぷつ びよ〜〜〜ん

町の男 「うわ〜!」

ころころ

町の男 「待ってくれ〜!」
北小岩 「どういうことで
 ございましょう」
玉七 「金玉袋の裏に
 縫い目があるだろ」
北小岩 「はい」
玉七 「この町の
 男たちの縫い目が、
 次々ほどけてるんだよ」
北小岩 「なんと!」

玉七 「あそこのヤツは
 縫い目がほどけて
 金玉が飛び出し、
 坂を転がってしまったのを
 必死に追いかけてるんだよ」
小林&
北小岩
「・・・」

師弟の顔から血の気がひいた。
先ほどの男だけでなく、
多くの男の縫い目がほどけているという。
この町だけの怪現象。
危機であることは確かだ。

小林秀雄さんへの激励や感想などは、
メールの表題に「小林秀雄さんへ」と書いて
postman@1101.comに送ってください。

2018-06-03-SUN

BACK
戻る