「てえへんだ! てえへんだ!」
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北小岩 |
「何があったのでございましょう」
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小林 |
「瓦版の玉七やな」
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北小岩 |
「氏は、今までは
大したことのないことで
瓦版を配っておりましたね」
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小林 |
「そやな」
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北小岩 |
「自分のおちんちんが
枯れたという記事も
ございました」
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小林 |
「ヤツのちんちんなど、
根腐れでもげようが
構わんわ」
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北小岩 |
「アリが一匹、
巣とお尻の穴を間違えて
入ってしまったということも
ありました」
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小林 |
「アリにとっては
迷惑な話やが、
100匹入ろうが10000匹入ろうが、
どうでもよいわ」
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北小岩 |
「先生のおっしゃる通りで
ございますね」
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だが、今回ばかりは様子が違うようだ。
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北小岩 |
「いつもはゆるい
玉七さんの表情が、
きちんと険しいようで
ございます」
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小林 |
「いわれてみりゃ、そやな」
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北小岩 |
「瓦版を読んでみましょう」
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道にゴミのように丸まっている瓦版を
拾い上げると。
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北小岩 |
「むっ!」
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小林 |
「どした?」
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北小岩 |
「『この町始まって以来の
男らの危機!』と
書かれております」
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小林 |
「どういうこっちゃ」
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北小岩 |
「うかがってみましょう。
玉七さん、
なぜ男らの
危機なのでございますか」
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玉七 |
「百聞は一見に
金玉でえい!
俺の後をついてきな」
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師弟が後を追う。
そこで目にした光景とは。
ぷつぷつぷつ びよ〜〜〜ん
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町の男 |
「うわ〜!」
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ころころ
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町の男 |
「待ってくれ〜!」
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北小岩 |
「どういうことで
ございましょう」
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玉七 |
「金玉袋の裏に
縫い目があるだろ」
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北小岩 |
「はい」
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玉七 |
「この町の
男たちの縫い目が、
次々ほどけてるんだよ」
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北小岩 |
「なんと!」
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玉七 |
「あそこのヤツは
縫い目がほどけて
金玉が飛び出し、
坂を転がってしまったのを
必死に追いかけてるんだよ」
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小林&
北小岩 |
「・・・」
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師弟の顔から血の気がひいた。
先ほどの男だけでなく、
多くの男の縫い目がほどけているという。
この町だけの怪現象。
危機であることは確かだ。 |