北小岩 |
「久しぶりに
ラグビー観戦しておりますが、
凄まじい迫力でございますね」
|
小林 |
「スクラムになったな。
男たちの力勝負や」
|
グググッ
|
小林 |
「町のチームが
押しとるな」
|
ググググッ
|
北小岩 |
「押し返されました」
|
ズルズル
|
小林 |
「後退しとるな。
それにしても隣町チームの
一番前のヤツ、
ずば抜けた巨漢やな」
|
北小岩 |
「あんな方に
タックルされたら、
ひとたまりもございません」
|
小林 |
「恐るべき男や」
|
北小岩 |
「我が町のチームには、
恐るべき方は
いらっしゃらないのですか」
|
小林 |
「何十年か前にはおったな」
|
北小岩 |
「どのような方か
お聞かせください」
|
小林 |
「物凄く小さい
スクラムハーフやった」
|
北小岩 |
「小柄なスポーツ選手は、
敏捷性に
優れておりますよね」
|
小林 |
「そやな。
スクラムから自軍に
ボールが出ようとした
瞬間や。
ヤツは相手の
スクラム後ろに
まわりこんだ」
|
北小岩 |
「えっ?
それではボールが
取れないでは
ございませんか。
なぜですか」
|
小林 |
「スクラムを組んでる
フォワード全員に、
鋭すぎるカンチョ—を
見舞ったんや」
|
北小岩 |
「げげっ!
どうなりましたか」
|
小林 |
「強烈過ぎて、
大半が大便を
漏らしてしまった」
|
北小岩 |
「大半でない方は」
|
小林 |
「屁が止まらんようになった」
|
北小岩 |
「それは
恐ろしいことでございます。
反則にならなかったのですか」
|
小林 |
「町対抗ラグビーからは
追放になったな」
|
北小岩 |
「その後どうされたのですか」
|
小林 |
「『おしり人』と呼ばれ、
悪いヤツらを見かけると、
カンチョ—をかましたな」
|
北小岩 |
「正義の味方に
なられたのですね」
|
小林 |
「そうとばかりは言い切れん」
|
北小岩 |
「と申しますと」
|
小林 |
「たまに気まぐれで、
すれ違いざま
カンチョ—をしてしまう
クセがあったんやな」
|
北小岩 |
「恐ろしいことでございます」
|
町で一番恐れられた男・・・。
彼のカンチョ—を受け、
屁が止まらなくなってしまったら、
日常生活にも支障をきたすであろう。 |