北小岩 |
「先生が生きてこられた中で、
異変が起きたと感じたことは
ございますか」
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小林 |
「あるな」
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北小岩 |
「どういうことで
ございましょう」
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小林 |
「俺が子どもの頃にな、
高度経済成長と
呼ばれるものがあったんや」
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北小岩 |
「噂にはうかがっております」
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小林 |
「公害もひどくてな」
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北小岩 |
「写真で見たことがございます」
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小林 |
「そんな時に、
異変が起きたんや」
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北小岩 |
「公害の中での異変・・・。
凄まじそうですね」
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小林 |
「確かに
凄まじいといえば凄まじい」
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北小岩 |
「うかがいたいような。
うかがいたくないような。
しかし、わたくし、
勇気を奮ってうかがいます」
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小林 |
「俺は子どもだったからな。
当事者たちに
直接聞いてみるか」
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二人はそれぞれのイチモツを両手で挟み、
きりもみ式で火を起こすようにぐりぐりし、
そのねじれ感覚を動力に、
当事者たちがたまっている町内会館まで走った。
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北小岩 |
「この建物の中に
証言者がいらっしゃるのですね」
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小林 |
「あそことあそこにおるわ」
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北小岩 |
「あそこと申しましても、
女性のあそこでは
ございませんね」
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小林 |
「そやな」
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北小岩 |
「エッチそうな
おじいさんたちですね。
申し訳ございません。
高度経済成長の時に
異変が起きたと
うかがっておりますが」
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エッチ
そうな
おじい
さんA |
「空気が汚れてしまっていてな」
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北小岩 |
「そうでしょうね」
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エッチ
そうな
おじい
さんA |
「鼻毛が伸びたんだよ」
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北小岩 |
「汚れた空気の
フィルターとなったから
でしょうか」
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エッチ
そうな
おじい
さんA |
「そうだと思うんだけど、
どんどん伸びてね」
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北小岩 |
「どうなったのですか」
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エッチ
そうな
おじい
さんA |
「しまいに女の乳首に
からみついてしまったんだよ。
俺に罪はないのに、
殴られたよ」
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北小岩 |
「そうなのでございますか!
災難でございましたね。
あちらの方にも
うかがってみましょう。
高度経済成長の時に
異変が起きたと
うかがっておりますが」
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エッチ
そうな
おじい
さんB |
「鼻毛がどんどん伸びてね」
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北小岩 |
「どうなったのですか」
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エッチ
そうな
おじい
さんB |
「しまいに
女のパンティの中に
入ってしまったんだよ。
俺に罪はないのに、
殴られたよ」
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北小岩 |
「・・・」
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罪を憎んで人を憎まず。
そんな言葉が頭に浮かぶが、
このケースはそれに当てはまらない気もする。 |