KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の七百参拾壱・・引っ越し

ぶ〜っ

北小岩 「トラックでございますね」

ぶ〜ぶ〜

北小岩 「どちらに行くので
 ございましょうか」

きき〜

北小岩 「お金持ちの
 陳棒太(ちんぼうふとし)さんの
 家でございます」
陳棒 「おっ、来たな」
北小岩 「陳棒様、
 どうしたのでございますか」
陳棒 「ここも手狭に
 なってきたので、
 引っ越すんだよ」
北小岩 「そうなのでございますか」
陳棒 「使わなくなったものも
 あるんだよな」
北小岩 「わたくし、陳坊様が
 いらなくなったものがあるなら、
 いただきたく存じます」
陳棒 「それは助かるな」
北小岩 「いくらでも
 ちょうだいいたします」
陳棒 「粗大ごみに
 出しづらいものもあってね」
北小岩 「よろこんで。
 ところで何でございますか」
陳棒 「二つあるんだけど、
 持ってってよ」

陳棒氏は家に入ると、何かを出してきた。

北小岩 「スケベ椅子で
 ございますね!」
陳棒 「お楽しみに使ってよ」
北小岩 「ありがとうございます!」

弟子がスケベ椅子を抱えて歩いていると。

小林 「お前、
 十分わいせつ罪に値するで」


北小岩 「あっ、先生。
 陳棒様がお引っ越しされて」
小林 「引っ越しか。
 今、町が
 大騒ぎになってるんや」
北小岩 「どういうことでございますか」
小林 「ちょうどええ。
 引っ越しされてしまった男が
 歩いてくるわ」
北小岩 「申し訳ございません。
 引っ越しで
 大騒ぎになっているというのは」
引っ越
された
「先日、俺のところに
 引っ越しの案内状がきてね」
北小岩 「はい」
引っ越
された
「それが
 俺のおちんちんから
 だったんだよ」
北小岩 「えっ?」
引っ越
された
「俺のおちんちんが、
 俺に無断で
 引っ越してしまったんだよ」
北小岩 「どちらにでございますか」
引っ越
された
「カリ高村(かりだかむら)
 らしいんだけど、
 どこかわからないんだよ」
北小岩 「もともとおちんちんが
 あった場所は
 どうなっているのですか」
引っ越
された
「空洞に
 なっちゃってるんだよ」

先生の町では、複数の男たちに
自分のおちんちんから
引っ越し案内が届いたという。
怪奇現象というには、少しくだらない気もする。

小林秀雄さんへの激励や感想などは、
メールの表題に「小林秀雄さんへ」と書いて
postman@1101.comに送ってください。

2018-10-07-SUN

BACK
戻る