ぶ〜っ
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北小岩 |
「トラックでございますね」
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ぶ〜ぶ〜
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北小岩 |
「どちらに行くので
ございましょうか」
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きき〜
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北小岩 |
「お金持ちの
陳棒太(ちんぼうふとし)さんの
家でございます」
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陳棒 |
「おっ、来たな」
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北小岩 |
「陳棒様、
どうしたのでございますか」
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陳棒 |
「ここも手狭に
なってきたので、
引っ越すんだよ」
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北小岩 |
「そうなのでございますか」
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陳棒 |
「使わなくなったものも
あるんだよな」
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北小岩 |
「わたくし、陳坊様が
いらなくなったものがあるなら、
いただきたく存じます」
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陳棒 |
「それは助かるな」
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北小岩 |
「いくらでも
ちょうだいいたします」
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陳棒 |
「粗大ごみに
出しづらいものもあってね」
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北小岩 |
「よろこんで。
ところで何でございますか」
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陳棒 |
「二つあるんだけど、
持ってってよ」
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陳棒氏は家に入ると、何かを出してきた。
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北小岩 |
「スケベ椅子で
ございますね!」
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陳棒 |
「お楽しみに使ってよ」
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北小岩 |
「ありがとうございます!」
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弟子がスケベ椅子を抱えて歩いていると。
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小林 |
「お前、
十分わいせつ罪に値するで」
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北小岩 |
「あっ、先生。
陳棒様がお引っ越しされて」
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小林 |
「引っ越しか。
今、町が
大騒ぎになってるんや」
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北小岩 |
「どういうことでございますか」
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小林 |
「ちょうどええ。
引っ越しされてしまった男が
歩いてくるわ」
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北小岩 |
「申し訳ございません。
引っ越しで
大騒ぎになっているというのは」
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引っ越
された
男 |
「先日、俺のところに
引っ越しの案内状がきてね」
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北小岩 |
「はい」
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引っ越
された
男 |
「それが
俺のおちんちんから
だったんだよ」
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北小岩 |
「えっ?」
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引っ越
された
男 |
「俺のおちんちんが、
俺に無断で
引っ越してしまったんだよ」
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北小岩 |
「どちらにでございますか」
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引っ越
された
男 |
「カリ高村(かりだかむら)
らしいんだけど、
どこかわからないんだよ」
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北小岩 |
「もともとおちんちんが
あった場所は
どうなっているのですか」
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引っ越
された
男 |
「空洞に
なっちゃってるんだよ」
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先生の町では、複数の男たちに
自分のおちんちんから
引っ越し案内が届いたという。
怪奇現象というには、少しくだらない気もする。 |