ひゅ〜 どたん ひゅ〜ひゅ〜ひゅ〜
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北小岩 |
「ついにドアが
取れてしまいました」
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小林 |
「寒風が吹き抜けると、
さすがにきついわな」
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北小岩 |
「暖房具を使おうにも、
家には拾った湯たんぽしか
ございません」
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小林 |
「隣家から
熱湯をわけてもらった時は、
ひどい目にあったな」
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北小岩 |
「湯たんぽに
大穴があいていて、
お湯が漏れて
火傷いたしました」
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小林 |
「熱湯がすべて
急所にかかったからな」
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北小岩 |
「あの時は
人生が終わったと
思いました」
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小林 |
「並の男やったら、
再起不能だったな」
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北小岩 |
「女性たちに求められたら、
応えられない状況で
ございました」
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この師弟が女性たちに求められることなど
マンにひとつもないので、
不能になっても差し支えないであろう。
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小林 |
「ともかく、
このままでは凍えるな」
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北小岩 |
「あたたかいものを
いただけないか、
お鍋料理のお店に
掛け合ってみましょう」
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極寒の中、二人は店に走った。
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北小岩 |
「お忙しいところ、
大変申し訳ございません。
余っているお鍋が
ございましたら、
少し分けて
いただけないでしょうか」
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お店
の人 |
「ちょうどよかった。
今、新しい鍋メニューを
開発中で、
モニターを
探していたんだよ」
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北小岩 |
「わたくしたちに
おまかせください」
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師弟は女湯がのぞける露天風呂に
つかっているように、
至福の表情になった。
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お店
の人 |
「どうぞ中へ」
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北小岩 |
「あたたかいでございます」
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小林 |
「天国やな」
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お店
の人 |
「そこの席におかけください」
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着座してしばらくすると。
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お店
の人 |
「これが新メニューです」
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赤いスープの鍋が出てきた。
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北小岩 |
「わたくし、
先日拾ったグルメ本で
拝見いたしましたが、
これは『火鍋』に
間違いございません」
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先生はラム肉をつつきながら。
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小林 |
「辛くてあたたまるな」
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ぷかぷか
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北小岩 |
「むっ!
スープにメタンガスのような
大きな気泡が
湧いてまいりました」
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パカ パカ
プ〜ッ プ〜ッ
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北小岩 |
「泡が割れるたびに、
奇妙な匂いがいたします」
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小林 |
「この匂いは屁や!」
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北小岩 |
「わたくし、
間違えました。
このお鍋は火鍋ではなく、
『屁鍋』でございました!」
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小林 |
「それも特別に腐った屁や!
ゲッ、屁が大量に
胃の中に
入っちまったわ!!」
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このお店、何なんでしょうね。 |