KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の七百六拾参・・・食品偽装

し〜ん

ぱら

北小岩 「午後の図書館。
 静けさの中でページを繰る。
 至福の時でございます。
 そうでございます。
 わたくし、案外
 この町の歴史を
 知りませんでした」

すたすた

北小岩 「町の歴史書はと。
 ございました」

ぱらぱら

北小岩 「え〜と」

『数十年前、この町で世界史上例を見ない
 食品偽装事件が起きてしまった』

北小岩 「そのように重大な
 出来事があったとは!
 内容が書かれておりませんが、
 先生ならご存知に
 違いございません。
 すぐに戻らねば」

たったったっ

北小岩 「先生!」
小林 「なんや!
 糞でも半漏れしとるんか」
北小岩 「違います。
 先生はこの町で起きた
 食品偽装事件について
 ご存知でございますか」
小林 「ああ。
 参加したな」
北小岩 「先生が
 犯人だったのですか」
小林 「違うわ。
 捜査に参加したんや」
北小岩 「どういうことでしょうか」
小林 「町に本物の温泉で作った
 『温泉卵』を
 謳い文句にしとる店が
 あってな。
 警察が偽装やないかと
 疑った」
北小岩 「食品偽装は
 いろいろございますね。
 期限切れのものを
 原材料に使ったり、
 産地を偽装したり。
 温泉卵の場合、
 際には温泉で
 作っていなかった
 ということですか」
小林 「そういうこっちゃ。
 店の鍋で作ったものに、
 ある細工をして
 硫黄の匂いを
 しみ込ませ、
 本物として
 売ってたんやな」
北小岩 「とてもいやな予感が
 いたしますが、
 お聞かせください」
小林

「警察と俺が
 店の裏にある工場に
 踏み込んだ時、
 店員らはパンツを脱いで
 卵をケツにあて、
 屁をかけていたんや」

北小岩 「げげ〜!
 お客様は
 硫黄の香りがすると
 ありがたがって
 食べていたでしょうに。
 実はそれは
 屁の臭いだったのですね」
小林 「そうなんや」
北小岩 「先生はなぜ捜査に
 立ち会われたのですか」
小林 「俺は町で一番、
 鼻が利いてな。
 警察犬のかわりに
 抜擢されたんや」
北小岩 「どういうことでしょうか」
小林 「屁をこいてるヤツの
 ケツの臭いを嗅いで、
 それから卵の臭いを嗅いで、
 それが同一のものと
 判定したんやな」
北小岩 「・・・」

先生の町は、
偽装事件ですらくだらなさが漂う。

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2019-05-19-SUN

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