KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の七百六拾八・・・侍

にこにこ

北小岩 「太陽さんが微笑んでおります。
 今日のようなお天気を、
 なんというのでしたか。
 え〜と、梅雨の〜、梅雨の〜」
小林 「梅雨の中折れや」
北小岩 「あっ、先生。
 そうでございました」
小林 「常識はすぐに
 取り出せるようにしとかな
 あかんな」
北小岩 「ありがとうございます」

常識がない人の常識に、耳を傾けるのはやめたい。

小林 「近頃、
 町に評判の悪いヤツが
 おるらしいな」
北小岩 「お侍さんの末裔らしいですね」
小林 「様子を見に行くか」

二人が向かったのは商店街であった。

侍の
末裔
「おい」
店主 「らっしゃい」
侍の
末裔
「らっしゃいじゃねえだろ。
 俺を誰だと思ってるんだ」
店主 「お客さんでしょ」
侍の
末裔
「お客さんじゃねえよ。
 侍の末裔だよ」
店主 「えっ?」
侍の
末裔
「世が世なら、
 商人は俺が通ったら
 額を地面にこすりつけてなきゃ
 ならねえんだよ」
北小岩 「ひどいでございますね」
小林 「許せんな」

「侍の末裔さん、
 古文書が見つかりました」

侍の
末裔
「俺の先祖が
 どれだけ偉かったか、
 学者に調べさせたんだよ。
 で、どうだった?
 大名か?」
学者 「あなたの先祖は
 確かにお侍さんでした」
侍の
末裔
「当然だろ」
学者 「しかし、もとは商人でした」
侍の
末裔
「えっ?」
学者 「陰毛が2メートルあって、
 それを聞いた殿様が
 面白がって
 侍にしたそうです」
侍の
末裔
「・・・」
学者 「陰毛をお尻の方にまわし、
 そこから頭に持ってきて、
 陰毛でちょんまげを
 結っていたため
 『ちょんまげ陰毛侍』と
 呼ばれていました」
北小岩 「ぷっ!」

学者 「登城の途中で
 伸びた陰毛を踏んでしまい、
 その勢いで金玉を
 老中に見せてしまいました。
 切腹という噂もあったのですが、
 お目こぼしで
 陰毛を剃られる断髪となり、
 再び商人に戻されたそうです」
小林 「おい、こら陰毛侍!
 逃げるな!!」

先生の町(村)には、
ユニークなお侍さんがいたのですね。

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2019-06-23-SUN

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