KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の八百弐・・・吊り

北小岩 「わたくし、
 毎年梅見の会に参加させて
 いただいております。
 白梅に紅梅。
 まるで美男と美女。
 絶妙な組み合わせです」

ざっざっ

北小岩 「あちらから、町のことに
 かなりの決定権を
 持っている女性たちが
 やってまいりました」

弟子はまるで
大名行列に遭遇した平民のように、
道をあけて頭を垂れた。

かなりの
決定権を
持ってい
る女性A
「もっと子どもと女性に
 やさしい町にしないと
 ダメよね」
かなりの
決定権を
持ってい
る女性B
「そうよ。
 町の男たち、
 やさしさが足りないのよ」
かなりの
決定権を
持ってい
る女性A
「この間、子どもと
 小柄な女性が
 電車で倒れそうになってたわ」
かなりの
決定権を
持ってい
る女性B
「そんな時でさえ、
 クズ男たちは
 手を貸さないのね」
かなりの
決定権を
持ってい
る女性A
「どうしたらいいと思う?」
かなりの
決定権を
持ってい
る女性B
「こういうのはどう?」
かなりの
決定権を
持ってい
る女性A
「いいじゃない!
 今度の立ち話で
 決定しましょ」
かなりの
決定権を
持ってい
る女性B
「そうしましょ」

先生の町では、かなり重要なことが
女性たちの立ち話で決定するらしい。

小林 「聞いたか」
北小岩 「あっ、先生。
 何が決まるので
 ございましょうか」
小林 「想像もつかんが
 不穏やな」

後日、駅長から
電車に試乗してほしいと頼まれた二人は。

がたんごとん

小林 「新しい車両でもないのに
 どういうこっちゃ」
北小岩 「わかりません。
 ラッシュで混んでおりますね」
車掌 「次のカーブは
 大変揺れますので、
 吊り革や吊り玉に
 おつかまりください」
北小岩 「吊り玉とは何でしょうか」

むんず むんず

北小岩 「どなたかが、
 わたくしの玉及び
 玉袋をつかみました」
小林 「俺のもや」

ぎゅ〜ん がたがたがた

北小岩 「うお〜!
 玉袋が破れる寸前まで
 引っ張られております!」
小林 「ちぎれるで〜〜〜!」
北小岩 「わたくし、
 激痛のあまり・・・」

弟子は気を失ってしまった。

北小岩くんの玉袋をつかんで
引っ張った女性は、小柄ながら
『金玉引っ張り合気道』の有段者であった。
先生のそこは同じ道場に通う
将来有望な女の子にむんずとつかまれていた。

かなりの決定権を持っている
女性たちの立ち話で、
吊り革に手が届かない小柄な女性と子どもは、
揺れに備えて男の玉袋を吊り革がわりに
握ってよいこととなったのだ。
吊り革というより、
ぶらぶら吊り下がった吊り玉である。

金玉袋は鍛えようがないため、
男たちにとって町の電車は
デンジャラスゾーンになってしまった。
ところで金玉引っ張り合気道って、
どんな武道なのでしょうか。

小林秀雄さんへの激励や感想などは、
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2020-02-16-SUN

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