KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の八百七・・・催眠

北小岩 「先生は
 どんな生物が
 油断ならないとお考えですか」
小林 「キツツキやな」
北小岩 「キツツキさんに
 襲われて、
 金玉を突かれたのですか」
小林 「それも恐ろしいことやが
 違うな」
北小岩 「わたくしには
 わかりません。
 ぜひご教示ください」
小林 「俺が子どもの頃の話や」
北小岩 「先生は遠くの
 女風呂をのぞくことで、
 視力を鍛えていたのですね」
小林 「そやな」

北小岩 「キツツキさんが
 女風呂の柱を突っついて、
 全裸の女性たちが驚いて
 前を隠さず
 立ち往生しているところを
 鑑賞したのですか」
小林 「それも魅惑的やが、
 そうやない。
 町の男たちがキツツキに
 催眠をかけられたんや」
北小岩 「どういうことでしょうか」
小林 「何かに憑かれたように、
 木を突っつき続けるように
 なったんや」
北小岩 「キツツキさんのくちばしは
 それに適しておりますが、
 人の歯は形状から見ても
 適しているとは思えません」
小林 「歯やない」
北小岩 「むっ、もしや」
小林 「そや。
 ちんちんで木を
 突っつき続けたんや」
北小岩 「イチモツで
 穴を開けられるので
 ございますか!」
小林 「ふにゃ男には無理や。
 ふにゃなのに
 死にもの狂いで続けたから、
 ちん機能を失うものが
 続出した」
北小岩 「キツツキ並みに
 穴を開ける方も
 いらっしゃったのですか」
小林 「いたな。
 鋼のようなちんちんで、
 コンコンコンコン
 音立てて、
 立派な穴を開けとった」
北小岩 「穴を開けて
 どうするのですか」
小林 「ちんちんの巣にするんや」
北小岩 「おちんちんに
 巣がいるのですか」
小林 「ヘビに襲われた時にな」
北小岩 「有事のために、
 機能を失うかもしれない
 危険な行為に
 及んだのですか」
小林 「キツツキが木を突くのは、
 餌をとるためや
 巣作りもあるが、
 メスに求愛するために
 することもあるんや」
北小岩 「木に穴をあけるほどの
 豪チンさんであれば、
 かなりおモテでした
 でしょうね」
小林 「やつらは中が空洞になった、
 ええ音が響く木を選んだ。
 知恵者やな。
 『チンツツキ』と呼ばれ、
 高速の鋭い突きを所望した
 おなごどもに入れ食いやった」

数十年前、先生の町では
キツツキに催眠をかけられた男たちが、
全裸で一心不乱におちんちんで
木を突いたそうです。
想像するだけでも、滑稽ですね。

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2020-03-22-SUN

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