KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の八百弐拾壱・・・地底と海底


パラパラ

北小岩 「図書館で深海の本を
 読んでおります。
 水深8000メートルにも
 お魚さんがいらっしゃいます!」

パラパラパラ

北小岩 「海底に棲んでいる生物に
 注目が集まっておりますが、
 その下の地底にも
 いろいろな生き物がいらっしゃって、
 地底と海底で
 せめぎ合っている気がいたします。
 先生なら何か
 ご存知かもしれません。
 急いで戻りましょう」

ダダッ

北小岩 「あれ?
 先生が銭湯の裏に
 いらっしゃいます。
 何をしているのですか」
小林 「北小岩か。
 ええところに来たな。
 今、小股の割れ上がった
 おなごが入っていった。
 そのおなごが浴びたお湯が
 気体となってここに漂ってくる。
 気体を逃さずに吸い込めば、
 理論上、生の女体を
 味わったことになるわな」

まったくならないであろう。

北小岩 「それもとても
 大切なことですが、
 わたくし海底と地底の生き物が
 気になっております」
小林 「俺が幼いころ
 金玉をくっつけ合った友だちが、
 今は海底と地底の
 生物研究をしとる。
 行ってみよか」

どんなに仲がよくても、
金玉をくっつけ合う必要はないと思う。

先生の
金玉
友だち
「やあ、久しぶりだね。
 金玉くっつけ合ってる?」
小林 「合っとらんな」
北小岩 「はじめまして。
 弟子の北小岩と申します」
先生の
金玉
友だち
「金玉くっつけ合ってる?」
北小岩 「合っておりません。
 わたくし、質問させて
 いただきたいのですが。
 深海と地底は接しておりますが、
 接している地域というのは
 概してあまり
 仲がよくありません。
 海底と地底の生き物はどうなのか、
 とても気になりまして」
先生の
金玉
友だち
「いいところに気がつきましたね。
 仲はとっても悪いです。
 年中戦っています」
北小岩 「彼らはどんな形をしていて、
 どんな戦いなのですか」
先生の
金玉
友だち
「海底生物は魚なのですが、
 金玉がとてもでかく、
 長く伸びる触手の先には
 金玉だけに吸い付く
 吸盤がついています。
 地底生物は
 ミミズ状のものなのですが、
 金玉がとてもでかく、
 長く伸びる触手の先には
 金玉だけに吸い付く
 吸盤がついています」

北小岩 「もしかすると海底生物は
 地中に触手を伸ばし、
 地底生物の金玉に
 吸盤を吸い付かせる。
 地底生物は水中に触手を伸ばし、
 海底生物の金玉に
 吸盤を吸い付かせる。
 そして引っ張り合って
 戦うのではございませんか」
先生の
金玉
友だち
「そうですね。
 海底生物は
 地底生物の金玉を
 海中に出させれば勝ち、
 地底生物は海底生物の金玉を
 地中に引き込めば勝ちです」
北小岩 「全力で引っ張りあったら、
 金玉袋が伸びきったり、
 吸盤だって強く吸い付いたら
 金玉がつぶれたり
 しないのですか」
先生の
金玉
友だち
「もちろん、
 大いにあり得ます。
 なかなか勝負がつかずに、
 五年間金玉を
 引っ張り続けている者たちも
 いますね」


海中8000メートルやその奥の世界では、
日々そんな恐ろしい戦いが
繰り広げられているなんて、
地球はまだまだ不思議に満ちた星ですね。

小林秀雄さんへの激励や感想などは、
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2020-06-28-SUN

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