KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の八百弐拾七・・・溜まり場

キラキラ〜

北小岩 「やっと
 夏らしい天気になりましたね」
小林 「そやな。
 美女たちが
 全裸で行水しているところを
 想像するのに、
 ぴったりの日やな」

二人はゆっくりまぶたを閉じた。

ばたばた〜

静寂を破ったのは、一羽の鳩だった。

小林 「口元を見てみい」
北小岩 「パンティを
 くわえております」」
小林 「町の長老の伝書鳩やな」

ぽとっ

鳩が上空からパンティを落とした。

北小岩 「デリケートゾーンの部分に
 何か書かれております」
小林 「こ汚い字で『来い』と。
 しゃあない」

師弟が長老の棲む祠に到着すると、
氏はウハウハ言いながら
エロ本のページをめくっていた。

北小岩 「長老様、
 いかがなされましたか」
町の長老 「来たか。
 お前ら溜まり場のことを
 知っとるか」
北小岩 「存じません」
町の長老 「屁をこいたら、
 その臭いはどうなる」
北小岩

「しばらく空中に滞在しますが、
 そのうちに消えてしまいます」

 

町の長老 「喝〜っ!
 甘いな。
 屁が消えることなどない。
 それは未来永劫、
 溜まり場に蓄積される」
北小岩 「そうなのでございますか!
 しかし、溜まり場というものは
 見たことも聞いたことも
 ございません」
町の長老 「69年ごとの
 持ち回りになっとってな。
 場所は秘密厳守。
 今年は我が町も対象となり、
 俺が推薦しといたわ」
小林 「いずこに?」
町の長老 「お前の家だ」
小林 「げげっ!」

師弟は全速力で家に引き返した。

北小岩 「どういうことでしょうか」
小林 「俺にもよくわからん」
北小岩 「戸を開けてみましょう」

ぶ〜 ぶ〜 ぶ〜 ぶ〜
もわもわもわ〜〜〜〜〜

北小岩 「うわ!
 家の中が腐った屁の臭いで
 充満しております」
小林 「うう、息ができん!!」


二人の血中屁濃度はマックスとなり、
意識を失った。

先生宅は今年、
屁の溜まり場になってしまった。
屁は消えてしまったわけではなく、
どこかに移動し存在している。
当然のことのような気もするが、
間違っているような気もする。

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2020-08-09-SUN

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